2021年03月31日 11:11 弁護士ドットコム
文部科学省が3月26日に始めた「#教師のバトン」プロジェクトに、教員からの悲痛な声が集まっている。
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これは学校現場の取り組みや後輩へのメッセージなどをツイッターなどに投稿し、これから教師を目指す若者にバトンを繋ぐという趣旨で始まったものだが、ツイッターでは学校現場の厳しい勤務実態を訴える投稿が多く寄せられているのだ。
まず、教員の長時間労働の一因となっている部活動については、「4月から初任で経験したことない運動部の主顧問と言われました」、「勤務時間は、8:15~16:45ですが、毎日の部活動は19:00まで。もちろん給与や残業代はありません」など顧問業務の負担を訴える声が相次いでいる。
さらに、「土日祝ぐらいは休みたい」、「毎日残業は当たり前。なんとか頑張って土日を迎えても部活動で休みなし」、「週末は部活。2連休はなかなかとれないよ!」など土日祝日も部活動で潰れるという人が多数みられた。
日々の休憩時間についても、「全ての休み時間と給食食べながら丸つけしています。休憩時間なんてありません」、「設定されているはずの休憩時間は取れません。給食?お昼休み?全てにおいて『指導』が必要な時間です」など、まともに取れないという声が寄せられている。
一方で、「給料もそこそこ、福利厚生もしっかり、子供の成長に関われる素敵な仕事です」「子どもから沢山の宝物をもらえる素敵な職業」など、教員の仕事の魅力についての投稿もあった。
現場からは早くも厳しい声が集まっているが、萩生田光一文科相は3月30日、記者会見で「投稿いただいた先生方の思いをしっかり受け止めて、働き方改革を前に進めて参りたい」と応じた。
「前向きな意見もあるし、明日にも辞めたい、こんな職場に若い学生たちはこない方がいいというネガティブな意見もあって戸惑いも感じていますけど、他方、この機会に働き方を変えて、処遇改善も含めて見直すんだという我々の思いというか、胎動は教育現場のみなさんは感じて頂いているからこそ、こうした発信をしていただけるんだと思います」(萩生田文科相)
また、「願わくば学校の先生ですから、もう少し品のいい書き方をして欲しいなっていうのは私個人としてはございます」とも話したが、これに対しては、「切実な現場の声を『品が悪い』って酷くないか」「それは教師の品位にふさわしい額の給与を払ってから言うセリフ」などと批判も集まった。
文科省は公式noteで、「現職の教師が行っている、全国の学校現場の日常の創意工夫や広がる改革の波について、教職を目指す学生や社会人の方々に対して十分に発信できていないのではないか」としているが、現場からの投稿内容を見る限り、その波はまだまだ行き渡っていないことが分かる。
未来の教員を増やし「学校の未来に向けてバトンをつなぐ」ためには、「キラキラエピソード」だけではなく、何よりも業務削減などの働き方改革が重要となることが改めて浮き彫りになっている。