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米ラッパー、血液入り“悪魔の靴”で批判殺到するも販売開始から1分足らずで完売

2021年03月30日 18:52  Techinsight Japan

Techinsight Japan

偽の謝罪動画を公開したリル・ナズ・X(画像は『Lil Nas X 2021年3月28日付Instagram』のスクリーンショット)
米ラッパーのリル・ナズ・X(21)が、ナイキのスニーカーのソール部分に人間の血液を入れた「悪魔の靴」を666足限定で販売した。発表当初はSNSで「気持ち悪い」といった批判が噴出したものの、靴は販売開始後わずか1分以内に完売したという。この件についてナイキは声明でラッパーや靴との関連を完全に否定、さらに靴の販売会社を告訴した。

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ストリートファッションブランド「SAINT」の公式ツイッターが現地時間26日、リル・ナズ・XとニューヨークのMSCHF社がコラボしたスニーカー「サタン・シューズ(悪魔の靴)」の写真と詳細を公開した。

同アイテムはナイキのエアマックス97のソール部分に、60ccの赤いインクと1滴の人間の血液が入ったものだ。紐部分には魔術やオカルトのシンボルでもあるペンタグラム(五芒星)のペンダントが付いている。


この「悪魔の靴」は666足の限定販売で、1足ずつに番号が記されている。価格は1点1,018ドル(約112,000円)だが、この数字は聖書の一説である「わたしはサタンが電光のように天から落ちるのを見た」というルカの福音書10:18にちなんだものだ。そして現地時間29日に販売開始したが、1分足らずで完売したそうだ。

MSCHFの広報担当者によると、スニーカーに入れた血液は同社チームのメンバーから提供されたもので「我々は芸術のために犠牲になることを喜んでいる」と述べた。さらに『CNN』の取材に対し、ナイキ社はこの件に一切関わっていないと説明している。

人間の血液を入れたスニーカーの販売にあたって、SNSでは激しい批判が飛び交っていた。

「これって本当なの、それともジョークなの?」
「靴のために血液を無駄使いしたのか。本当に血液が必要な人々のために使えば、生命を救うことができたのに。」
「全くもって気持ちが悪い。なんの理由もなく悪魔を崇拝する人々に祈りを捧げるよ。今の世の中、このような道を歩む人々が増えているのは悲しいことだ。」

こういった批判を受けてリル・ナズ・Xは現地時間28日、自身のYouTubeチャンネルで「リル・ナズが悪魔の靴について謝る」と題した偽の謝罪動画を公開した。冒頭でリルが「僕はただ、名乗り出て言いたいだけなんだ」と言うと、画面が彼の新曲『Montero(Call Me By Your Name)』のMVに切り替わり、リル・ナズ・Xが悪魔のキャラクターと踊っているシーンが流れるだけの内容だ。同MVは、悪魔をテーマにしているとしてこちらも批判を浴びている。

この件についてナイキ社は、声明で「我々は、リル・ナズ・XやMSCHFとは関係ありません。ナイキはこのような靴の設計や販売はしておらず、当社がこれらを推奨することもありません」と発表した。後日ナイキはMSCHFを告訴しており、同社がナイキの有名なロゴマーク「スウィッシュ」の使用を阻止するよう裁判所に求めている。

画像は『Lil Nas X 2021年3月28日付Instagram、2021年3月26日付Instagram「“MONTERO” THE ALBUM DROPS THIS SUMMER!」』『SAINT 2021年3月26日付Twitter「MSCHF x Lil Nas X “Satan Shoes”」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)