2021年03月29日 13:11 弁護士ドットコム
「聖火リレー撮影動画、一般人はSNSへのアップ禁止」という日刊スポーツの記事が、3月28日にツイッターで拡散し話題となった。しかし、記事の日付は「2020年2月28日」と1年以上前のものだ。
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その方針自体は、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会が2020年2月に一度公表したものだった。もっとも、組織委員会は、その直後に「理解が不正確で事実と異なっていた」と謝罪して方針を撤回。国際オリンピック委員会(IOC)も個人のSNS利用には問題ないことを明らかにしていた。
東京2020オリンピック聖⽕リレーメディア事務局は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「明文化したルールが公表されているわけではない」としつつも、「個人が公道で撮影した聖火リレーの動画を、個人使用の目的で個々人のソーシャルメディアアカウントに投稿することについては、特に制限はない」と話し、あらためて問題がないことを強調した。
しかし、メディアに対してはどうやら個人とは違うルールが適用されるようだ。
東京新聞編集局は3月28日、同26日の記事とともに配信していた聖火リレーを撮影した動画について、「IOCのルールに則り、動画は28日夕方までに削除します」とツイートした。「新聞メディアが撮影した動画を公開できるのは走行後72時間以内」だというのだ。
ここでいうIOCのルールとは、「第32回オリンピック競技大会(Tokyo2020)聖火リレーに適用されるニュースアクセスルール」のことだ。
ニュースアクセスルールによれば、大会の放送権をもたないメディア(非RHB)は、聖火リレーを撮影した動画については、イベント後72時間に限り放送・配信できるとされている。大会の放送権をもつメディア(RHB)には、このような時間制限は設定されていない。
そのうえで、ニュースアクセスルールおよび(または)適用法令によって特に認められる場合をのぞき、非RHBによる放送・配信はIOCの権利を侵害するものと推定する(みなす)としている。法的責任が争われる場合は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)での仲裁手続きによることも明記されている。
ただし、このルールはあくまで「聖火リレーを撮影した動画(映像)の放送・配信」に適用されるものだ。「写真については特に制限していない」(聖⽕リレーメディア事務局)ことには留意する必要がある。