3月27日、富士スピードウェイでスタートしたスーパーGT公式テスト。GT300クラスは2021年も数多くの話題を集めているが、そのなかでも今季のトピックスのひとつとも言えるのが、マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号だ。まだ確定しているわけではないというが、平木湧也と平木玲次のふたりが、兄弟で公式戦に挑むことになりそうだ。
1996年生まれの湧也、1998年生まれの玲次はともに茨城県出身。湧也は鈴鹿サーキットレーシングスクール出身で、2017年までFIA-F4で戦い、2018年にスーパーGTにデビュー。TEAM MACHで戦ってきた。一方、玲次は2016年からFIA-F4を戦い、2020年には優勝も飾った。
そんなふたりは、2020年にル・ボーセモータースポーツを引き継ぐようなかたちで、地元に根ざしたレーシングチーム『HELM MOTORSPORTS』を立ち上げ、FIA-F4には玲次が、スーパー耐久にはふたりを中心にレクサスRC350で参戦。高橋知己を加えた地元もてぎではST-3クラスの優勝も飾った。
さらに2021年、まだチームから正式発表はないものの、ふたりはスーパーGTでもコンビを組むことがほぼ確定的になった。「昨年のラインアップのままシーズンに臨むと思っていたのですが、ナツくん(坂口夏月)が移籍することになり、シートがひとつ空くことになったんです。そこで(チーム代表の)玉中哲二さんと話していたら、たまたま僕の横に弟がいたんです(笑)」というのは湧也だ。
「じゃあ、乗ってみるか」と玲次がチームに加わり、岡山公式テストからマッハ号に乗り込むことになったのだが、トラブルもあり多くのマイレージを重ねることはできなかった。今回の富士が本格的な走行となったが、兄弟で組むことについて「情報の共有はやはりしやすいですね。お互いがどういう走りをするのか、クセも分かっていますし、任せられる部分やアドバイスできる部分もあるので、やりやすいです」と湧也は言う。
一方、岡山で初めてのマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号をドライブした玲次は「思っていたよりもフォーミュラに近く、今まで僕が乗ってきたF4に似ていて、スムーズに順応することができました」という。
また、兄弟で組むことについては「今までレースを始めてからずっと兄弟で一緒にやってきたので、クセなども熟知していますから。実はドライビングスタイルはかなり違うのですが、その違う部分をメリットとして活かせると思いますし、兄弟で組むことでアドバンテージがあると思います」と玲次は言う。
そして何より、兄弟でのスーパーGTフルシーズン参戦というのは今まであまり例がない。2013年にLEON SLSで黒澤治樹と黒澤翼がコンビを組んだことはあるが、フルシーズンではなく、もしシーズンを通して参戦すれば、初となる可能性は高い。
また、今後「HELM MOTORSPORTSのFIA-F4から、TEAM MACHのオーディションに参加できるような流れを作りたいと思っています。メーカー系だけでなく、ステップアップできる流れを作ろうとしています」と湧也は語る。
GT300で、そしてF4で示してきたとおり、兄弟のスピードは折り紙付き。今季のマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号がどんな活躍をみせてくれるか、楽しみなところだ。