2021年03月26日 18:02 弁護士ドットコム
行き過ぎた制服指導に苦しむ生徒を救いたい——。現役高校生と公立高教員、弁護士などが3月26日、制服と私服の選択制を求める1万8888人分のネット署名と要望書を文部科学省に提出した。
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新型コロナウイルス対策で、私服やジャージでの登校を許可する動きがある。署名呼びかけ人で、岐阜県の公立高教員・斉藤ひでみ(本名・西村祐二)さんの勤務校もその一つだ。2020年6月から制服と私服の選択制が始まり、生徒の半数は制服、半数は私服を組み合わせた格好で登校している。
提出後に会見を開いた斉藤さんは「コロナをきっかけに、学校が変わっている。校則問題を改善できるとしたら、まさに今しかない。数十年来の最初で最後のチャンスといっていい」と訴えた。
斉藤さんが2021年1月末から「change.org」(インターネット署名サイト)で署名活動を始めたところ、署名には100を超えるコメントが集まった。
「アトピーがあってスカートで隠しようがなくつらかった」「私は制服が大嫌いで、中学高校は嫌で嫌でたまりませんでした」などの声が寄せられたほか、保護者からは「一式揃えたら約9万円になりました」「公立校で10万近い制服代を強制して当たり前の社会は不健全」など費用負担を訴える声もあった。
文科省の調査によると、学校の決まりなどをめぐる問題が一因となり不登校になった小中高生は約5500人いる(「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。
「下着は白」「三つ編み禁止」など時代にそぐわない不合理な校則が問題となる中、斉藤さんは「制服や私服どちらでも良く、制服は強制力のない標準服に過ぎない、とすれば、こうした細かい身だしなみ規則はなくなる。勤務校でも身だしなみ指導自体がなくなった」と話した。
要望書では、以下の5点を求めた。
(1)学校に制服強制の権限があるかどうかを明らかにする
(2)服装や身だしなみ指導などの規定、罰則を調査
(3)校則や決まりをHPで公開すべきと表明する
(4)人権侵害、健康を害する校則は即刻廃止と通知
(5)校則に関する原理原則をガイドラインなどに明示
会見に参加した都内の私立高に通う女子生徒(17)は、制服のないアメリカに短期留学したことで、不要な校則が多すぎることについて考えるようになったという。
「留学先の学校の服装規定は、下着を露出してはならないなど最低限のものでした。学校が乱れることもなく、皆が違うことを尊重しあえていました。
帰国後、生徒会長に立候補し、女子生徒へのスラックスを導入しましたが、現状は少数なので、スラックス=LGBTQのカミングアウトと周りから思われざるを得ません。全ての生徒がいろんな選択肢から選べることが普通になれば、根本的な解決になると思います」
嶋﨑量弁護士は「制服や校則は子どもの権利や自由を制約している。規制する側に法的に合理的な説明が必要」と説明した。