ソニー・インタラクティブエンタテインメントは3月26日、世界的大ヒットを記録したPS4用ゲームソフト『ゴースト・オブ・ツシマ』の映画化が決定し、制作が進行していることを同社の公式ブログ上で発表した。
『ゴースト・オブ・ツシマ』は、"元寇"を題材にした米国発のオープンワールド・ゲーム。オープンワールドで描かれた13世紀の日本を自由に探索したり、対馬から蒙古を駆逐するために日本刀や弓などを駆使して戦うほか、ゲーム中で和歌を詠めたり尺八を吹けたりと、細部にまでこだわった演出が定評を呼んでいる。
「受け皿としてはまだ弱いところもあります」とも
同ブログでは併せて、同作の累計実売本数が650万本を突破したことも発表。このうち約半数が同作を最後までクリアーしているといい、「作中の対馬が325万回も作中のモンゴルから守られた」などとユーモアを交えて紹介されている。
今回の発表に喜びを隠さないのは、地元・対馬観光物産協会の西護事務局長だ。
「感謝の気持ちしかありません。ゲームをきっかけに、世界的に対馬の知名度が向上できてありがたかったのですが、映画ではより幅広い層に向けて発信ができると考えています」
ただ、浮かれてばかりもいられないようだ。対馬は離島という性質上、現時点では宿泊施設の数なども限られている。「受け皿としてはまだ弱いところもあります。観光客の皆さんに安定して来てもらえるよう、整備を進めていかなければなりません」と意気込みを見せた。
作中で重要な役割を果たす「キツネ」を設置する準備も進行中
西事務局長によると、これまでは地理的に近い韓国からの観光客や、高齢客の団体ツアーなどが多かったという。しかし、昨年7月のゲーム発売以降、若者や個人客が増加。さらに、日本在住とみられる欧米人も見かけるようになったという。
「客層はがらりと変わりましたが、緊急事態宣言が解除されてからは少しずつ観光でお見えになる方も増えてきています。お電話での問い合わせも非常に多いです」
問い合わせの内容は、パンフレットの取り寄せなど。「コロナが落ち着いたら行きます」と口をそろえたように言われてしまうが、それでも新規層が"対馬"に関心を持ち始めている証拠だろう。幅広い年代の人から寄せられており、これまで海外に特化していた旅行会社が、対馬でパッケージを作り始めた例などもあったという。
西護事務局長は「昨年も観光客が増えたら、2波、3波があったので、最大限しっかりと対策していかなければなりません」と気を引き締める。その一方で、今後の観光戦略としては、ゲーム内に登場する菅笠やキツネなどを設置しようと準備を進めているそうだ。
「対馬に本来キツネはいませんが、ゲーム中ではとても重要な役割を果たしています。観光施設などにキツネの置物を設置して、触りながら一緒に写真が撮れるようなスポットを設置できればいいなと思います」
まだ多くの人が旅行を自粛する中、新型コロナの新規感染者数は落ち着きを見せ始めている。安心して移動ができるようになったタイミングに映画の公開時期が重なれば、対馬は一大ブームの的になるかもしれない。