これまでグランプリのフリー走行1回目にはマシンがあまり走らない時間帯があり、退屈していたファンも多かったかもしれない。2021年に向けてなされた、金曜日の2回のセッションを90分から1時間に短縮するという決定は、そういうファンには朗報といえるだろう。
チームは金曜日にこれまでに比べ3分の2の時間で同じだけの走行をこなさなければならないため、ピットで過ごす時間が少なくなるとみられる。
この規則変更の影響について、メルセデスのテクニカルディレクター、ジェームズ・アリソンが説明した。
「今まではチームはドライバーをFP1の最初の方でインスタレーションラップに送り出し、その後はしばらくピットで過ごしていた。テスト項目をたくさん抱えている他のチームが走行して、コースをきれいにしてくれるのを待つわけだ」
「そうして30分たった後に、最初の本格的な走行を行う。セッション開始40分後にはピレリにタイヤを1セット返さなければならないからだ。その後、さらに2、3回のランを行う。最後の20分にはタイヤのデグラデーションをチェックするためのロングランも実施する」
「FP2では、まず最初の走行でセットアップ作業を行う。その後、ソフト寄りのタイヤを使った低燃料での走行をしてから、ロングランに取りかかる。まずはレースでメインになると考えるタイヤ、最後の10分にはもう片方のタイヤを使う」
「そういう流れでやってきたが、今後は違うやり方で作業をしなければならない」
作業を急ぐ必要があるため、FP1での走行で多くのテストを行うチームは、インスタレーションラップを省略するかもしれない。
「常に言えるのは、インスタレーションラップは行う方がいいということだ」とアリソンは語った。
「だがマシンを送り出す前にガレージで多くの作業を行うこともできる。そうすれば問題が発生するリスクを最小化できるだろう」
「(今年は)グリーンライトがついたらすぐに、各車がピットを離れ、その10分後には再び走行を始めるようになると思う。そして残りの50分の間に収まるように、2回ほどセットアップのための走行をし、ロングランを1回実施する。どのチームも、FP1ではいつもどおりの30数周、FP2では40周近くを走りたいと考えている。予選とレース戦略を決める前に、タイヤのデグラデーションのデータを十分集めたいからね」
「従って、効率性が重要になる。テクニカルトラブルを起こしたりスピンをしたりすると、以前に比べてはるかに高い代償を払うことになるだろう」とアリソンは締めくくった。