2021年03月24日 10:51 弁護士ドットコム
10年間も不倫をしていた妻とその相手に対して「慰謝料を請求したい」という相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。
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相談者の妻は、子どもの習い事の先生と10年以上に渡り不倫をしていました。「相手は子どもの習い事の先生でもあり疑うことはありませんでした」といい、長期間に渡り裏切られていたことにショックを受けています。そこで、通常よりも高額の慰謝料を妻と不倫相手に請求したいと考えているようです。
一般的に、不倫を原因として慰謝料をパートナーに請求する場合、不倫期間の長さが金額に影響することはあるのでしょうか。また、このような場合、不倫相手にも慰謝料請求はできるのでしょうか。村上真奈弁護士の解説をお届けします。
ーー不倫期間(不貞期間)の長さは慰謝料額に影響するのでしょうか。
不貞期間の長さは慰謝料額に影響すると考えられてはいます。
裁判例を見ても,不貞の期間が1~3カ月程度であると、判決の中に「交際期間が短期間」、不貞の期間が1年を超えてくると「長期間」と記載されているものがあり、裁判所も不貞の期間を考慮していることがうかがえます。
しかし、慰謝料額を見てみると、不貞期間が数カ月のものと数年のもので、違いがなかったり、数カ月のものの方が高い額であったりすることもあります。
不貞期間以外の要素や、個々の裁判官の感覚によっても違いが出るので、不貞期間だけからどの程度慰謝料の額に影響を与えているのかよくわからないのが実情です。
たとえば、不貞期間約9年のケースで慰謝料250万円としたものがある一方、不貞期間約1年半で慰謝料額250万円としたものもあります。
不貞の慰謝料額は、100~300万円程度になることが多いですが、不貞期間が長期間になってくると不貞の慰謝料の中では高い方の金額になると考えてもいいかもしれません。ただ、それだけで額が決まるわけではないことにも注意が必要です。
ーー今回のケースのような場合、不倫相手に対しても慰謝料を請求できるのでしょうか。
基本的には、不倫相手に対しても、慰謝料を請求することは可能です。しかし、不倫関係になる前に夫婦関係が破綻している場合には、慰謝料は認められません。
夫婦関係の破綻は、いろいろな事情から判断されますが、たとえば、別居してある程度期間が経過している、不倫関係になる前に夫婦間で明確な離婚の合意がある、配偶者(不倫をしていない方の)から暴力がある等の事情が典型的です。
また、既婚者だと知らずに関係を持ったという反論もよく出てきます。しかし、よほど巧妙な手口で騙されたケースでないと、既婚者だと知らなかったという反論は通りません。
今回のケースでも、お子さんの習い事の先生なので、既婚者だと知らなかったという反論は通りにくいでしょう。夫婦関係が破綻していたという反論も、先ほど挙げたような事情がないと通りにくいと考えます。 近年、不貞の慰謝料額は、特に不貞相手に対する訴訟では、以前より低い額が認定される傾向があります。
何かを決断するのはとても苦しいことですが、これを機に今後の夫婦関係をどうされたいのか、ご自身の幸せはどこにあるのか、パートナーや不貞相手ではなく、自分自身と向き合って今後の方針を決められるのがいいと思います。
(弁護士ドットコムライフ)
【取材協力弁護士】
村上 真奈(むらかみ・まな)弁護士
千葉県弁護士会所属。夫婦・親子問題に特化した事務所を運営。事務所は年間500件以上
の離婚相談に対応し、全国でも有数の取扱件数を誇る。「一歩前に進める」離婚相談が好評。他の弁護士からの紹介案件も多い。
事務所名:弁護士法人とびら法律事務所
事務所URL:http://www.tobira-rikon.com