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自覚しづらいDV被害、困った時は「♯8008」を活用して コロナ禍で相談件数が増加

2021年03月23日 10:31  弁護士ドットコム

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全国の警察に寄せられた家庭内暴力(DV)の相談件数が2020年に過去最多となるなど、コロナ禍における家庭の安全性の確保が大きな課題となっている。


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警察庁によれば、全国の警察へのDV相談件数は全国であわせて8万2643件。2019年より約400件増加し、過去最多となった。



DV防止法の保護命令違反で摘発したのは76件、検挙されたのは全体で8702件にのぼった。内訳は、傷害致死(1件)殺人未遂(110件)、傷害(2626件)、暴行(5183件)などがあった。



2021年に入ってからも、日本マクドナルドホールディングス元社長の原田泳幸さんが2月、自宅で妻に暴力を振るったとして、東京区検が傷害罪で原田元社長を略式起訴。東京簡裁が罰金30万円の命令を出し、原田元社長は即日納付している。



●困った時は「#8008」「DV相談+」へ

DV問題に詳しい山崎新弁護士は「昨年以来のコロナ禍で家庭内にDVや虐待が増えています。夫婦間でも相手の身体に暴力をふるうことはもちろん暴行罪・傷害罪になります。むしろ夫婦や恋人の間だからこそ、他人から見えないところで暴力が繰り返されたり激化したりしやすく、殺人に至ることもある」と指摘する。



また近年、身体的な暴力以外にも精神的な暴力への関心も強まっている。山崎弁護士によれば「暴言、脅かす、長時間の執拗な説教、過度な干渉や行動の制限なども精神的DVとなる場合もあります。それも含めて行政の相談窓口なら積極的に支援しています」という。



「子どものため、身内の恥などと考えて暴力を我慢している人、長年の暴力で逃げる気力すら持てない人もいます。『うちのはDVじゃない』と思い込んでいる場合もあります。自分のことはなかなか自覚できないもの。行政の相談なら無料ですから気軽に相談してみてください」(同)




【主な相談先】
・「DV相談ナビ」(♯8008)で近くのDV相談支援センターへつながる
・「DV相談+」(https://soudanplus.jp/)メールやチャットなどでの相談も可能





【取材協力弁護士】
山崎 新(やまざき・あらた)弁護士
2009年弁護士登録。東京弁護士会・両性の平等に関する委員会委員長。日本労働弁護団・女性労働プロジェクトチーム。離婚、相続、労働、その他一般民事を扱うが、DV、セクハラ、性暴力被害など女性の権利に関するものや、性的マイノリティー(LGBT)の人権に関する法律問題に特に力を入れている。


事務所名:アイリス法律事務所
事務所URL:http://iris-lo.com/