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時短命令は「狙い撃ちだ」 グローバルダイニングが都を提訴…請求額は「104円」

2021年03月22日 15:21  弁護士ドットコム

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新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づく時短命令を受けた飲食チェーン「グローバルダイニング」が3月22日、命令は違憲・違法だとして、東京都を相手取り、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。


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都による時短営業命令は3月18日、時短要請に応じていない約2000施設のうち、27施設に出されたが、そのうち26施設がグローバルダイニングの店舗だった(翌19日にはさらに5施設に発令)。



グローバルダイニングは「要請」段階の時短営業に応じていなかったが、「命令」には応じ、3月18日~21日の4日間、命令を受けた店舗での20時以降の営業を取りやめた。



3月22日に都内で会見を開いたグローバルダイニングの長谷川耕造社長は、「命令の根拠に、『緊急事態措置に応じない旨を強く発信』したことを挙げられて唖然とした。表現の自由を行使したから命令し、従わないなら罰すると言ってきているわけで、とても看過できない」と話した。



●「狙い撃ちしたものとしか思えない」

訴状によると、グローバルダイニングに最初の時短要請がきたのは、延長期間中の2月19日だった。この要請は特措法24条9項に基づくもので、仮に応じなくても時短命令につながるものではなかった。



しかし、その3日後(22日)には、応じなければ時短命令が出される可能性のある特措法45条2項に基づく要請の事前通知がきて、同26日には正式な要請がきた。



グローバルダイニングはどちらの要請にも応じず営業を続けていたが、緊急事態宣言の再延長が決定された3月5日、時短命令が出される前の手続きとなる「弁明の機会」を付与する通知が届いた。



グローバルダイニングは3月11日、弁明書を提出したものの、都は同15日、同社に時短命令の事前通知をおこなった。そして、緊急事態宣言の解除が決まった同18日、特措法45条3項に基づく時短命令が正式に出された。命令の対象となった27施設のうち26施設がグローバルダイニングの店舗だった。



長谷川社長は「自分たちの弁明書や都からの通知はすべて情報公開していたが、それを理由に都は時短命令を発出してきた。狙い撃ちしたものとしか思えない」と話し、都の対応を批判した。



●請求額「104円」で訴訟提起、クラファンで支援つのる

今回の提訴は、コロナ対策が必要最小限のものかどうかなどを司法の場で解明することが目的で、損害賠償請求が主な目的ではないため、請求額は104円(1店舗1円×26店舗×4日間)と設定したという。



同社代理人の倉持麟太郎弁護士によれば、時短命令の違憲性・違法性を問うとともに、法的な根拠や科学的な根拠があいまいなまま飲食店営業を一律に制限することの是非、コロナ禍の名のもとにおこなわれてきた過剰な規制や改正特措法の違憲性について問題提起するという。



訴訟では、(1)時短命令は、時短要請に応じないことを発信していたグローバルダイニングを狙い撃ちしたもので、平等原則に反し、表現の自由及び営業の自由を侵害する、(2)同時短命令は特措法上の要件を満たしていない、(3)飲食店が主要な感染経路であるという明確な根拠もなく営業を一律に制限できる特措法の規定は、営業の自由を侵害しており違憲――などを主張していくという。



倉持弁護士は「自由が制限されている時点で『実害』だと認識している。行政のとったコロナ対策で社会的弱者になってしまった人もいる。今回の訴訟を『声なき声』を集約するプラットフォームにしていきたい」と話した。



「経済的余裕は一切ない」(長谷川社長)という同社の弁護団は、今回の裁判について、提訴と同時に「コロナ禍、日本社会の理不尽を問う」と題したプロジェクトをクラウドファンディングサービス「CALL4」で立ち上げ、支援を募っている。



●東京都のコメント

東京都は、弁護士ドットコムニュースの取材に「訴状が届いていないので、現時点ではコメントを差し控えたい」と話した。