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2021年上半期の運勢も配信しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね♡
2021年上半期の運勢 今週のおひつじ座の運勢illustration by ニシイズミユカ
現実一年生
今週のおひつじ座は、特別な邂逅(かいこう)に臨んでいくような星回り。
桜の季節になって、ひとり山に出かけて野生の桜を眺めている。「一合の酒いつぽんの山桜」(奥名春江)は、そんな情景を詠んだ句なのでは。おそらくは、一合の酒というのも、コンビニなどで買ったコップ酒なのでしょう。
山桜は同じ地域でも、個体によって開花時期や、花つき、花の色の濃淡、樹の形など様々な変異がありますから、「いつぽんの」とあるのは、そのなかで特に気に入った一本があるのかも。
一本の山桜とひとりの人間。ちょっとさみしくて、それでいて満ち足りた、いちばんお酒がすすむシチュエーションであり、もしかしたら作者にとってそれは毎年繰り返してきたお決まりの儀式なのかも知れません。あなたもまた、自分との対話をゆっくり行っていけるだけの時間と場所とを確保していくべし。
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緊張感と解放感のはざまで
今週のおうし座は、重い拘束具を脱ぐかのように、自身を縛りつけるこわばりを解除していくような星回り。
ほっと一息ついたり、心温まる気持ちを「ほっこり」といいます。「ほ」も「こ」も「り」も、いずれも空気の擦れた音が連続するこの擬音表現は、どうも人に息をとことん吐かせるように出来ており、その点にこそ本質があるように思われます。そこには重たくなった身をほどいて羽を伸ばすときの解放感があるのです。
さらに語源に目を移してみると、「火凝る」つまり物を焼くという意味の他動詞の連用名詞形である「ほこり」に景気づけの促音「っ」をつけたのが「ほっこり」だという説が。これは「ほこり」の語幹「ほこ」を重ねた「ほこほこ」「ほかほか」など温暖な副詞や、「日なたぼっこ」という言葉が生まれたことからも確かであると感じさせられます。
ちなみに「ほっこり」に関しては、「ぼける」「ぼんやりする」という意味の「惚く」という動詞の名詞形「ほけ」から「ほけあり」という形容動詞が生まれ、それが縮まったものという説も。あなたも、自分が生き延びていくための手段としての「ほっこり」という言葉の使い方やコミュニケーションを編み出していくことがテーマとなっていくでしょう。
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道の先へ連れ去られる
今週のふたご座は、花のつぼみを膨らませるようにみずからに栄養を与えていくような星回り。
「春雨(はるさめ)」は春に降る雨の中でも、こまやかに降りつづく雨のこと。「ヘッドライトに春雨の鱗めく」(榮猿丸)では、春の柔らかな闇を照らすヘッドライトとともに、どこか艶のある季語として使われています。
一雨ごとに木の芽、花の芽がふくらみ生き物たちが動き出す春雨に濡れて、アスファルトまでなまめしく「鱗めく」。それは客観的な観察の結果というより、作者のみた幻想であり、頭の中の妄想が夜の闇に溶けだして、夜道そのものが巨大な女体の一部のように動き出し、自分をどこか見知らぬところへと連れ去るようにも感じられたのかも知れません。
そんな一瞬の妄想のあと、夜道をひた走る自分に気付いて、ハンドルを握り直す。しかしその口元は固く結ばれて引き締められるどころか、どこか緩んでいるのではないでしょうか。あなたもまた、そんな風にみずからの妄想が溶けだして虚実の境に身を遊ばせてみるといいでしょう。
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あらためて子供に留まる
今週のかに座は、「涙ぐむ」という振る舞いに何か深いものを感じていくような星回り。
人間は他の動物と比べて、未熟な幼児期が異様に長い生き物。発育過程が遅滞ないし遅延することで、胎児や幼児の特徴が保持される生物学的な現象は「ネオテニー(幼形成熟)」と呼ばれますが、アメリカの人類学者アシュレイ・モンターギュは人間は生物の中でもっとも劇的にネオテニー戦略を活用した生物であり、それは「子供に留まることが人間に文化の可能性をもたらす」のだとも述べています(『ネオテニー』)。
例えば、他のほ乳類のように母親の体毛にしがみついていることのできない人間の赤ん坊は、その代わりに大声で泣いて注意を喚起します。それはほとんど生理的な働きですが、「涙を流して泣く」行為は人間の大人にも遅滞されて保持されており、こらえつつも「涙ぐむ」ことで深い共感を促す訳です。
つまり、「涙もろさ」というのは子供を延長させたネオテニーの特徴であり、それこそが人間が人間であろうとするための分母的な時空なのだということ。あなたもまた、つねに新しい存在としての子供性をみずからの中に積極的に見出していくことになるはず。
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数寄数寄、大数寄
今週のしし座は、春の風のようにのどかにどこかへ吹いてたゆたっていくような星回り。
「寝仲間に我をも入よ春山」(小林一茶)は、作者がまだ江戸で独り暮らしをしていた42歳頃の作。下五の「春山(はるのやま)」は、故郷の北信濃の山容というより、どこか仕事でおもむいた先の山々から得ていた印象に、春の気分を添えて想像上で思い描いたのでしょう。
「寝仲間(ねなかま)」がごろごろしている部屋というのも、もちろん頭の中の空間。昼間から堂々とごろごろしている訳ですから、あまり広い部屋でないほうがいい。もちろん、あまり狭くても困りますが、その逆よりはいいはず。互いの気配がかすかに感じられるくらいの状態で、思い思いに寝転がっており、ぼそぼそしゃべっているのもいれば、眠っているのもいる。そのなかに入って、ごろりと寝る。
障子はあけっぴろげで、遠くに春の山が見える。そういう陶酔的な気分に浸るように入っていくという意味で、銭湯の湯舟につかるような句と言えます。あなたもまた、一時的にであれ自分をのんびり温和な春風のようにして「無」にしていくといいでしょう。
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周辺空間を変貌させてゆく
今週のおとめ座は、みずからにいのちあるものとしての“ピチピチ感”をもたしていこうとするような星回り。
押しつけられた秩序を相手どって、一見それに従いながらも完全にはそれにハマらず、手持ちの材料やその場の即興で「なんとかやっていく」方法について分析してみせた『日常的実践のポエティーク』。その中でミシェル・ド・セルトーは、その具体的実践として例えば「歩行」を取り上げています。
本来は「言い回し」や「言葉のあや」に近い、古典修辞学における「文彩」を意味する「フィギュール」という言葉を「歩行」に結びつけ、「空間を文体的に変貌させてゆく身ぶり」と位置づけ、リルケの言葉を借りて「動く身ぶりの樹々」と言い表します。
それは都市計画で指示された首尾一貫した固有の意味を、あらぬ方向に吹き飛ばし、「ねじ曲げ、粉々にし」つつ、「それでも不動を保とうとする都市の秩序から何かをかすめとってゆく」。あなたも、いまの自分に足りない予測不可能な動きをごく日常的な場面にこそ取り入れてみるといいでしょう。
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私たちは人間menとしてある
今週のてんびん座は、肌に馴染む人間味に触れていくような星回り。
「花の幹に押しつけてゐる喧嘩かな」(田村木国)を一読すると、花見の場での派手な喧嘩沙汰の光景が思い描かれるのではないでしょうか。「押しつけてゐる」ということですから、一方がやや強くて、胸倉でもとって相手を押していって桜の幹につけており、相手は必死に押し返そうとしている。
ところが、それから強く押さえつけている方が、ぎゅうぎゅうと相手を幹に押しやる度に、桜の樹は揺れて、はなびらがひらひらと散りかかる様子が思い描かれる。そして、そんな喧嘩を見る人たちが群れをなして周囲に垣をなし、またそうこうする内に誰かしらの仲裁が入りそうな予感が漂います。
そして、どうしたことかここで描かれる喧嘩は、舞台設定の派手さはあるものの凄味はなく、どこか子供っぽい微笑ましささえ感じられるから不思議です。あなたもまた、滑稽さも含めて改めて人と人とがぶつかりあう場に充ち溢れる活気と尊さに、打ち震えていくことになるかも知れません。
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大元から始める
今週のさそり座は、文様がデザインに、文字が言葉になっていく過程をみずから再現していこうとするような星回り。
人間は他の動物と比べても圧倒的に力も弱く、また体を覆う体毛もほとんどない、非常に脆くはかない存在ですが、そんな人間が外的から身を守るために必要としたのが“人工の皮膚”であり文身、すなわち入れ墨/刺青でした。
日本では「アヤ」と呼ばれ、その最も単純な原型が「×」で、線条が斜めに交錯しているさまのこと。それは増殖して綾となり、文様となり、姿を変えて文字となっていきました。「×」が潜む文字には「産」や「彦」や「顔」があり、「産」はムスと読んで、額に×をつけた魂が充実することをムスビと言いました。そしてやがて男をムスコと言い、女をムスメと言い、それらが一緒になることを「結ばれる」と言ったのです。
そうして「文」が成長するとそれは「文化」となり、そこでアヤは運動会で行われる綱引きや、冠婚葬祭時に使われる水引、相撲の横綱の土俵入りなどへと転じてきたのではないでしょうか。あなたもまた、みずからの手でひとつの文化の大元を作っていくことがテーマとなっていきそうです。
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避けられないものと向きあう
今週のいて座は、誰かを救うことで自分もまた救われていくような星回り。
「魔事なくて納経すみし花の昼」(名和三幹竹)の「魔事」とは仏教語で、悪魔の行う事がらのことで、仏道の妨げになることやもの。「納経」は経文を写して寺社に納めること。掲句の場合は、縁ある人の遺骨を墓所に納めて、供養のための誦経をすませたことを指しているようです。
つまり、親しかった人が今年の花を楽しめなかったことを悲しみつつも、その死に際して、僧としてできる限りのことを尽くしたことに満足しているのでしょう。桜の花が満開の昼。作者は僧として、まさにその「花」に魔を感じ取ってもいる訳ですが、これは昔から桜の花が咲く頃には、悪霊が跳梁すると言われていたことも関係しているように思います。
いずれにせよ、作者のように魔をしりぞけるには「誰かのため」に動くことこそが最も肝要なのかも知れません。あなたもまた、普段は遠ざけようとしているしがらみを、むしろ積極的に肯定していく中で見えてくるものがあるはず。
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ころころと、どこまでも
今週のやぎ座は、これはと感じたものの実体に直接触れていこうとするような星回り。
原朔太郎の「春の実体」という詩は、良くも悪くも詩歌にあらわされてきた伝統的な桜のイメージを一変させてしまった作品の筆頭と言えます。
さながら印象派の画家スーラの光に満ちた点描画のようですが、その実体が「虫けらの卵」であるという触覚的な描写にこそ、朔太郎の独創があるのではないでしょうか。
詩の末尾の「よくよく指のさきでつついてみたまへ、/春といふものの実体がおよそこのへんにある」という一節などは、そのまま今週のやぎ座の人たちへの呼びかけのようにも感じられます。あなたもまた、ただ見ているだけではなく、直接触れたり、働きかけていくことを大切にしていきたいところです。
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花いろいろ
今週のみずがめ座は、可憐と豪放のあいだに立ってぶらぶらと歩いていくような星回り。
「鼻紙の間(あい)にしほるゝすみれかな」(斯波園女)は、一読してすぐに、何とも可愛らしい印象を与えてくれる句。野辺のすみれの花を大事に挟んでおいたのだ、鼻紙のあいだに。そのこと事態を忘れていて、何かの表紙に鼻紙の存在に気付いて、そっと開いてみると、すっかり萎れている。
少年少女だった自分をどこか置き去りにして生きている大人たちを詠んだようであり、逆にいつまで経っても若かりし頃の残滓を捨てきれない人間のサガを詠んでいるようでもある。作者は江戸時代前期の女流俳人で、芭蕉の門下。いかにも女性らしい可憐な人であったかと言うと、どうもむしろ豪放な人柄だったそうです。
だからこその鼻紙なのかと納得しつつも、いやいややはりどこかに繊細さを捨てきれない人物だったからこそ俳句などやっていたのではないかと、勘繰り出すと止まらなくなる。これもまた人間だろう。あなたもまた、自分のなかで矛盾しあうどちらの面にもしっかりと軸足を置き直していくべし。
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醒めたり惚けたり
今週のうお座は、夢の中を歩いているような気持ちになっていく星回り。
泉鏡花の『龍潭譚(りゅうたんだん)』の一節「行く方も躑躅(つつじ)なり。来し方も躑躅なり。山土のいろもあかく見えたる、あまりうつくしさに恐しくなりて」。これは神隠しをテーマに、道に迷った男児の不思議な体験を描いた泉鏡花の短編小説『龍潭譚』の一節であり、主人公が見渡す限り躑躅が咲く山を歩く下りで出てくる箇所。
あまりの美しさは幻想幻覚を引き起こし、自分がこの世ではないどこか見知らぬところを歩いているような気持ちにさせるもの。そこでは何がおこるかわからない。まさに鏡花の世界は、日常を超えた美しさに入り込むことによって起こる、異次元体験なのでしょう。
それはこれまで当たり前のようにあった日常に突然穴があき、何かがその向こうに見えてくるという形で始まっていくものの、次の瞬間にはまた隠されしまい、そこで私たちは何か見てはいけないものを垣間見たような気になってくるのです。あなたもまた、ダイナミックな時間的空間的揺らぎを体験していくことになるかも知れません。
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