リクルートグループは4月から、国内約1.6万人の従業員を対象に国内の7社を統合し、新しい人事制度を導入する。新制度では取得する日を自分で決められる年間休日を増やし、合計で145日とする。年間平均では週休約2.8日になるという。
さらに、一部職種を除いて理由・回数を問わないリモートワークを全社に導入。通勤交通費は日額上限5000円とし、定期代の支給を停止する。上限の範囲内であれば、条件付きで特急料金も支給し、従業員が働く場所をより柔軟に選択できるようになる。
一日の労働時間は7.5時間から「8時間」に延長
中間持株会社「リクルート」に合併されるのは、リクルートキャリア、リクルートジョブズ、リクルート住まいカンパニー、リクルートマーケティングパートナーズ、リクルートライフスタイル、リクルートコミュニケーションズ、リクルートテクノロジーズの7社。
統合前の休日は各社で異なるが、統合先のリクルートの場合は有給休暇を除き130日だった。一方、新たな人事制度では一日の労働時間をこれまでの7.5時間から8時間に増やすことで、年間の所定労働時間は変わらずに給与の変更もないという。
このほか、休暇・休職制度も変更する。育児関連では、従業員の性別にかかわらず、妊娠中から子どもが12歳になるまでの間で取得可能な「出産・育児休暇」(合計40日間)を新設。一方、これまで有給としていた産前産後休暇については、法定通りの無給に変更する。
介護関連では、要介護認定などの法定要件を問わず、ペットを含めた家族のために利用できるケア休暇(5日間)を新設。一方、これまで有給としていた介護休暇(5日間)についても、やはり法定通りの無給に変更する。
さらに、介護休職の日数は事業会社の多くで365日としていたが、93日とする。これらの変更は、増加する年間休日やリモートワークの浸透と併せて、育児・介護と仕事を両立しながら働き続けることを支援する狙いがあるという。
「休む日を自分で決められることが大きいと感じています」
同社の北村吉弘代表はリリースで、人事制度改訂の背景について
「多様な個人とチームが、自律的に、生産性高く、創造性を最大限に発揮できる働き方を実現していきます。働き方やそれを支える人事制度も、さまざまな背景を持つ個人が、これまで以上に、生き生きと力を発揮できるものにする必要があると考え、今回の人事制度改訂に至りました」
と説明する。同社では2015年から、組織単位でリモートワークの導入をスタート。これまでは一部の事業会社で「上長の承認を得る」などの制限が設けられていたものの、新制度では原則これをなくして自分の好きなタイミングでリモートワークができるようになる。
広報担当者は、新制度のメリットについて次のように語った。
「子育て・介護・病気療養などいろんな背景を持つ人々が、働き方に制約がなく、自分が一番しやすい働き方で働けるようになります。これにより、前述のような事情で会社を辞めていく人も減ると見ています。また、働く場所、時間が柔軟になることで、より創造性を発揮できるようになります。例えば、開発担当者であれば、自分が一番アイデアの湧きやすい働き方で仕事ができるようになります」
ツイッターでは、今回の新制度に対して「これ全力で羨ましい」「すごい意思決定だ」「一般化して」などと称賛の声が相次いでいる。これに広報担当者は、
「リクルートの人事制度の肝は変わっておらず、一人一人の自主性に任せていくことがポイント。ご理解頂けたようでありがたいです」
とコメント。「『週休3日制』ではなく『週休約3日』なので、休む日を自分で決められることが大きいと感じています」と付け加えた。