2021年03月19日 12:51 弁護士ドットコム
必要とする支援制度が女性に届けられていないーー。
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コロナで困窮した女性のために、女性だけのスタッフが様々な支援にあたる「女性による女性のための相談会」が3月13日と14日、新宿・大久保公園であった。
2日間で約120人が助けをもとめて訪れたという。実行した女性らが3月18日、取り組みを報告した。
年末年始の「年越し支援コロナ被害相談村」の相談者344人のうち、女性は62人(18%)だった。
スタッフには男性だけでなく女性もいたが、女性の相談者からは「会場の外から見ると、男性ばかりに見えて、入りづらかった」「男性が相談にいると、DV被害や、衣服や、生理用品を求めにくい」との感想が寄せられた。
その声を受けて、「女性相談会」の準備がすすめられ、メディア、SNSを通じた呼びかけや、ネットカフェや女性専用カプセルホテルでチラシを配るなど周知したところ、3月13日(土)、3月14日(日)の10~17時に開かれた相談会には、それぞれ23人、99人の女性がやってきた(知人女性の相談に訪れた男性2件を含む)。
年代は、未回答をのぞくと、50代(23人)、40代(17人)、30代(16人)が中心だ。正社員は5人だけで、あとは非正規か、無職だった。
迎える女性有志は、弁護士、看護師、保育士などを含む約60人だ。
プライバシーが確保されるテントブースや、子どもを預けるキッズスペースが用意されたほか、テーブルに花を置いた「カフェ」が話しやすい雰囲気づくりに役立ったという。
受けた相談の内容は、労働、生活、法律、心と体などにわたる。
「生活が苦しい」「住むところがない」「コロナの影響で仕事がない」「家族に虐待されている、DVに苦しんでいる」「望まない性行為・妊娠」などの声が寄せられたという。
コロナ関連の支援制度が打ち出されているが、相談者の多くは、利用していないか、存在を知らなかった。
住居確保給付金などの制度について、利用・認識を尋ねたところ、相談者の19%にとどまっていたのだ。
実行委は、困窮した女性に、情報が十分に届いていないことから、「申請しやすいか、申請不要の支援」や「一律の現金給付」が必要だとする。
このような相談会では、調理不要な「食料」支給のケースが多い。女性相談会では、子どもや家族のために、調理できる「食材」を用意した。持ち帰りやすいように白米は小分けにして、野菜、フルーツ、味噌などを提供した。
ほかに配られたのは、生理用品や基礎化粧品や衣料品だ。「白いワイシャツが一番喜ばれました。就職活動をするのに、白のワイシャツやブラウスが必要。また、カバンもうれしいと言われた」(実行委員会のジャーナリスト・松元ちえさん)
マイバッグしか持っておらず、仕事に行きにくいのだという。
食材や物資の多くが、全国の女性農家や、企業から提供を受けた。「女性の相談会」と名付けると、企業から支援を受けやすいとわかったことも収穫だったと報告された。
「女性相談会」は、相談にきた女性らを、一時的ではなく、継続的に支えていく。
実行委の雨宮処凛さんは、相談者の生活保護申請に付き添った。
住まいの確保をサポートして、それで支援を切り上げると、孤立感で精神的に不安定になる女性も多いという。継続したやりとりの意義も強調された。
男性の中にも、困った人を助けたいと考える人もいる。
その際、男性が女性にできることの例として、雨宮さんは「公的制度などの支援の情報を伝える」「役所への申請に付きそう」などをあげた。