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延期されていたTCRオーストラリア第2戦は、アウディのモスタートが連勝を飾る

2021年03月17日 18:31  AUTOSPORT web

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Melbourne Performance Centre(メルボルン・パフォーマンス・センター/MPC)のアウディRS3 LMSをドライブしたチャズ・モスタート
2月13~14日の週末に開催予定だった2021年のTCRオーストラリア第2戦は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策のロックダウン措置を受け延期されていたが、3月12~14日の週末にファナテックGTワールドチャレンジ・オーストラリア(GTWCオーストラリア)併催戦として無事に開催された。

 このレースで主役を張ったのがRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ(旧VASC)でも活躍するチャズ・モスタートで、メルボルン・パフォーマンス・センター(MPC)のアウディRS3 LMSをドライブしたホールデン陣営のエースは、ウエットの土曜にポール・トゥ・ウインを決めると、続く日曜のレース2も制するなど大活躍。

 本戦たるGTWCオーストラリアの開幕ラウンドでも、ジャメック・レーシングに所属する元スーパーカーのトップドライバー、ガース・タンダーとヤセル・シャヒンのアウディR8 LMSエボが連日連勝を飾るなど、RSC経験者が席巻する週末となった。

 2021年のRSCではウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)のエースとしてホールデン・コモドアZBで2年目のシーズンを迎えるモスタートは、1月開幕のTCRオーストラリア、シモンズプレイン戦からMPCが用意したアウディで参戦。TCR初体験ながら、表彰台を争うスピードを披露していた。

 そのモスタートは金曜2回のプラクティスから、こちらもRSCレギュラーの開幕戦勝者、リー・ホールズワース(アルファロメオ・ジュリエッタ・ベローチェTCR)と首位タイムを分け合うと、土曜の霧雨が舞う予選セッションから躍動。10分の計時予選と続くトップ10シュートアウトも制し、レース1のポールポジションを確保した。

「トップ10シュートアウトに向けて少しセッティングを変更したが、感触は素晴らしかった。この難しいコンディションのなか、アウディでポールを奪えてうれしいね」と振り返ったモスタート。

「正直、Q2に向かうときは少し緊張したんだけど(笑)、チームにトップのグリッドを持ち帰れたのは素晴らしい成果だ。この後のレース1は本降りの雨だろうし、先頭にいるのが最善の策だと思うよ」

 そう予測していたモスタートは、レース1のスタートでもフロントロウに並んだチームメイトのルーク・キング(アウディRS3 LMS)や、セカンドロウに並んだ古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツの豪州SC経験者、ホールズワースとマイケル・カルーソ(アルファロメオ・ジュリエッタ・ベローチェTCR)らを従えてホールショット。後続のポジションチェンジを尻目にわずか4周で10秒のマージンを稼ぎ出してみせる。

■ドライでも強さをみせつけたモスタートだったが、レース3ではまさかのトラブル

 一方、スタートで開幕ウイナーのアルファロメオに道を譲っていたキングも、終盤にホールズワースを捉えて2番手に復帰する。しかしこの頃には先頭とのギャップが25秒まで拡大する圧倒的な展開に。

 雨量増大でレース距離短縮の決定が下され、最終的に14周でチェッカーが振られたものの、この時点でモスタートは僚友キングに32秒298ものリードを築いてフィニッシュ。自身のTCR初勝利をシリーズ最大記録となるギャップで飾り、他を2秒も圧倒するファステストラップもマークする、記録ずくめの勝利となった。

「退屈? いや、とても楽しかったよ。水が溜まって池になっているところは怖かったけどね。ポールからクリアな視界を活かしたいと考えていたし、そのとおりの戦略が実行できた。すべてが計画どおりさ」と、喜びを語ったモスタート。

 この結果、明けた日曜のレース2をふたたびポールからスタートしたアウディRS3 LMSだったが、ドライとなったこの日は前日と異なる展開となり、オープニングラップでGRMのプジョー308TCRに乗るアーロン・キャメロンと、チームメイトのキングに先行され3番手にドロップしてしまう。

 ホームストレートエンドで伸びを見せるアウディの特性を活かしたキングは、すぐさまプジョー攻略に成功して首位に躍り出ると、キャメロンvsモスタートの2番手争いが激化。

 ラインを交錯させアウト・インを入れ替えながらの攻防は5周目に決着し、モスタートが前に出てまずはアウディのワン・ツー体制を取り戻す。ここからチームメイトに対する猛追が始まり、7周目には早くもサイド・バイ・サイドの状態に持ち込むと、レース終盤までアウディ同士の死闘が続いていく。

 12周目のターン1ではインサイドの芝生に2輪を落とし、スライド状態でキングのテールに張り付きスピンを堪えたモスタートは、ファイナルラップを前にターン1から左右コーナーの続くセクションで並走すると、ターン4のインを奪ってついにポジションを奪還。そのまま15周のトップチェッカーを受け、ドライでも大逆転の連勝を飾っている。

 最終のレース3も終盤までリードを維持したモスタートだったが、週末好調だったアウディがここでトラブルから突然スローダウンを喫しピットへ。代わって大ベテランのジェイソン・バルグワナ(プジョー308TCR/GRM)がシリーズ初優勝を決めている。

 続くTCRオーストラリア第3戦は、4月2~4日の週末に“聖地”バサースト、マウントパノラマでの6時間耐久イベントが予定されている。