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婚活デート後にお断りしたら「デート代を支払ってください」、支払う義務は?

2021年03月17日 11:01  弁護士ドットコム

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婚活サイトで出会った男性に、デート代を請求されていますーー。そんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。


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相談者によると、デート当日は相手男性がクレジットカードで全て支払っており、男性には「自分が出すから良いよ」と言われていたそうです。しかし、相談者は「男性とのお付き合いは考えられず丁寧にラインでお断りしました」といいます。



ところが、その後、「不誠実な対応の為、デート代を半額口座に振り込んでください」というメッセージが送られてきました。レシートの写真も添付されていたとのことです。



金額は7000円。住んでいる地域も相手に知られてしまっているため、相談者は怖くなり、ラインで「支払う」と言ってしまいました。しかし、その後、冷静になって支払う必要はないのではないか、と考えるようになったそうです。



このような場合、相談者は男性に半額を支払う必要はあるのでしょうか。木村知子弁護士の解説をお届けします。



●ラインのやりとりでも「合意」は成立する

ーー相談者は、男性に半額を支払わなければならないのでしょうか。



まず、お付き合いを断ったら「不誠実な対応だからデート代を半額振り込んで」と言われたとしても、支払いをする必要はありません。デート代金を支払う際、相手から「お付き合いしてくれるなら、あなたのデート代を払う」とあらかじめ言われていたなどの特別な事情がない限り、相談者には支払義務はないでしょう。



ーーでは、その後、ラインで「支払う」と言ったことによって、支払義務が発生したと考えられるのでしょうか。



前述したように相談者に支払義務がなかったとしても、その後、相手との間で半額の7000円を支払う旨の新たな合意が成立したといえる場合は、相談者に支払義務が生じることになります。ラインでのやり取りだからといって、合意の成立を妨げるものではありません。



ただし、この「支払う」という意思表示自体は、相手方に意思表示が到達する前であれば撤回することが可能です。そのように評価できる場合(たとえば、ラインでメッセージが既読になる前に意思表示を撤回する旨のメッセージを送信した場合など)は、支払わなくてもよいと考えられます。



また、相手から「家を見つけ出してでも支払わせるから」などと言われて怖くなり「支払う」と言ってしまったなど、強迫(民法96条1項)に該当する場合は、意思表示を取り消すことができます。



(弁護士ドットコムライフ)




【取材協力弁護士】
木村 知子(きむら・ともこ)弁護士
平成13年弁護士登録(54期)。大阪弁護士会所属。 離婚、男女問題、相続・遺言など個人からの相談に対応するほか、法人から依頼された案件も数多く手掛ける。事案の本質を見極めて、迅速な解決を図ることをモットーにしている。

事務所名:木村知子法律事務所
事務所URL:http://www.women-solutions.jp/