2021年もThreeBond Drago CORSEから全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するタチアナ・カルデロン。自身も重要視している日本のトップフォーミュラで、今年こそ結果を残すべく、3月11~12日に行われた鈴鹿サーキットでの公式テストに臨んだ。
コロナ禍での入国後自主待機期間も考慮して早めに来日したカルデロン。実はテスト前日の3月10日は彼女の28歳の誕生日で、チームは内緒でケーキやプレゼントを用意し、サプライズで彼女をお祝いした。
「正直、普段は自分の誕生日ってあまり好きじゃなかった。歳もひとつ増えてしまうし……。でも、チームのみんながケーキを用意してくれたり、(母国の)コロンビア国旗に寄せ書きをしてくれて本当に嬉しかった。私のなかで最高な誕生日のひとつになった。改めて、私は素晴らしいチームの一員になれているんだなと感じた」とカルデロンも笑顔で語り、在籍2年目となるチームとの絆をより深めていたようだ。
基本的に彼女の自宅があるスペインがメインの活動拠点とはなるが、現在は開幕戦に向けて都内のウィークリーマンションで生活しているというカルデロン。昨年はコロナ禍での渡航制限などで2戦の欠場を余儀なくされたが、今年はそのリスクを少しでも減らすために、可能な範囲内で日本に滞在してレースに臨むという。
「日本には4月の終わりまでいる予定よ。その後、WEC世界耐久選手権のスパ・フランコルシャンがあるからいったんヨーロッパに戻って、第3戦オートポリスの前に日本に戻ってくる予定。入国規制等がどうなるかが心配ではあるけれど……、今のところはその予定にしている」
「今回は私にとって一番長い日本滞在になる。みなさんに協力してもらって、都内に部屋を借りて生活をしていますし、ジムにも行ける環境も整っていて、レースに向けた準備をしっかり行うことができるので、協力してくれているみなさんには本当に感謝している」
そう語ったカルデロン。自身の拠点であるスペインをしばらく離れることになっても、スーパーフォーミュラでしっかりと戦いたいと考えている。
「もちろん、LMP2のプログラムも非常に魅力的で重要だけど、私としてはシングルシーターのレースを続けたいし、重要視していきたいと思っている。今のなかではスーパーフォーミュラが私にとって一番チャレンジングなカテゴリー」
「スーパーフォーミュラは、F1にステップアップするために最高の準備ができるカテゴリーだと思う。クルマはとても速いし、FIA-F2やFIA-F3と違ってレースを通じて勉強になることもたくさんある。すごくやり甲斐のあるカテゴリーね」
「あと、WECのスケジュールが変更となり開幕戦が5月になったことで、こうしてしばらくの間、日本に滞在してスーパーフォーミュラに集中することができる」
そんななかで臨んだ鈴鹿での公式テスト。ヨーロッパでLMP2マシンのテストに参加していたものの、コーナリングスピードではスーパーフォーミュラの方が圧倒的に速いため、まずは昨年までの感覚を取り戻すところから始まったという。特に鈴鹿でテストをするのは初めてということで、新たな課題も見つかったようだ。
「鈴鹿でレースしたことはあるけど、テストに参加するのは初めて。さらに、ハイパフォーマンスなクルマに乗るのは久しぶりだったから最初は慣れるまで大変だったけれど、感覚を取り戻すことができたテストだった」
「でも、ハイスピードコーナーでのパフォーマンスを改善しなきゃいけないと思う。鈴鹿にはそれがたくさんあるし、ここまでハイスピードなコーナーはヨーロッパのサーキットにはないものね」
「正直、ハイスピードコーナーを練習する上で鈴鹿は最高なステージだと思う。私もたくさん練習をして現状を改善していきたい。あとはタイヤのウォームアップね。私にとってはチャレンジングなことだけど、ここをもっと改善していかないといけないと思っている」
昨年は決勝でライバルを上回るような好ペースを披露する場面もあったが、最高位は12位でポイント獲得には至らなかった。カルデロンはF3やF2時代を見てもチームを移籍することが多く、同じ体制で2年目を迎えることがなかったのだが、今年はそれが叶うことが強みだと強調している。まずはポイント獲得が目先の目標だと語った。
「今年は何としても良い結果を残したいし、まずは1戦でも早くポイントを獲得したい。また今年もこのチャンスを与えてくれたチームを始め、スポンサーのみなさんに恩返しできるようなレースをしたい」
鈴鹿テストでは少し課題の残る結果となったが、彼女の2021年はまだ始まったばかり。ここからどんな成長を遂げるのか目が離せない。