2021年03月15日 17:31 弁護士ドットコム
子どもの頃には、退屈な仕事の代表格に思えた「9時17時(くじごじ)サラリーマン」。しかし、自分が社会人となって働き始めると、実は恵まれた労働者だと気付いた人も多いのではないでしょうか。
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求人票をみると、「始業:午前9時、終業:午後5時」という条件は少なくなっています。代わりに、勤務時間欄にはこんな条件が目立ちます。
勤務時間:9:00から18:00(標準労働時間1日8時間)
9:00から18:00(休憩1時間)
9:15から17:45(休憩1時間含む、実働7時間30分)
なかなか「9:00から17:00」の求人には、めぐり会えないのです。求人票をみる限り、現代において「9時17時サラリーマン」求人はレア。
しかし、日本にはなぜ「9時18時サラリーマン」と、1時間少ない「9時17時サラリーマン」がいるのでしょうか。法律はどのように労働時間を定めているのか、南山佳仁弁護士の解説をお届けします。
ーー法律は、どのように労働時間を定めているのでしょうか。
労働時間には「法定労働時間」と「所定労働時間」があります。
「法定労働時間」は、労働基準法で定められている労働時間の限度で、原則として、1日に8時間、1週間で40時間とされています。「所定労働時間」は、会社が法定労働時間の範囲内で自由に定めることができる時間です。
したがって、会社は、就業規則や雇用契約書で「1日7時間労働」と決めることができます。 なお、休憩時間は法定労働時間には含まれません。休憩時間は、労働基準法で6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を少なくとも設けることが義務づけられています。
したがって、勤務時間が「9:00から18:00」となっていても、1時間の休憩時間と8時間労働ということを意味しており、結果的に法定労働時間内の労働条件となっています。
ーー法定労働時間を超えて働いた場合はどうなるのでしょうか。
法定労働時間を超える場合には、会社は、労働基準監督署に「36協定届」(時間外・休日労働に関する協定届)を提出し、労働者に割増残業代を支払います。
他方、所定労働時間を超えた場合には残業代は発生しますが、法定労働時間内である限り、割増残業代にはなりません(法定労働時間内の残業を「法定内残業」と呼ぶこともあります)。
たとえば、「9:00から17:00(所定労働時間7時間、休憩1時間)」との労働条件下で、19時まで残業したとします。この場合、17時から18時の間の残業は所定労働時間(7時間)を超えていますが、法定労働時間(8時間)を超えていないため、時給(給与と労働時間から算定)と同じ残業代が発生します。
18時から19時の間の残業は、法定労働時間8時間も超えていますので、時給の他に割増分(時給25%分)が加算されることになります。
(弁護士ドットコムライフ)
【取材協力弁護士】
南山 佳仁(みなみやま・よしひと)弁護士
第二東京弁護士会所属。不当解雇・残業代請求等の労働問題を数多く取り扱っているほか、不動産に関する案件やインターネット問題を取り扱っている。
事務所名:木下・脇田虎ノ門法律事務所
事務所URL:http://www.kiwa-tora.com/index.html