2021年03月15日 10:22 弁護士ドットコム
休日に上司から「会社に遊びに来なさい」という電話がしばしばあり、行くと仕事をさせられるーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられている。
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相談者の会社では、規程に「業務時間外の呼び出しの場合、3000円の手当と実動分の割増賃金を支払う」という記述があるという。
ところが、相談者が休日に仕事をした日の分を申請すると、上司に「お前は遊びに来たんだから認められない」と言われ、申請をはねのけられてしまったそうだ。上司は「会社に今すぐ来なさい」ではなく、常に「会社に遊びに来なさい」という言い方をしていたという。
このような場合、時間外勤務をしたことにはならないのだろうか。田村優介弁護士に聞いた。
**ーー今回のケースのように、上司に「会社に遊びに来なさい」などと言われて会社に行き、仕事をすることになった場合は、時間外勤務をしたことにはならないのでしょうか。
「会社に行った結果、上司から仕事をすることを指示されたのであれば、その時点で業務指示がなされたといえ、働いた時間はもちろん労働時間となります。
信じられないような話ですが、実際の労働事件でも、長時間労働が問題になった際、会社側から『彼は職場には来ていたが働くためではなかった』『自発的に喜んで作業をしていただけ』などという主張がなされることがあります。
もちろん、業務指示があって労働しているのですから、労働時間になることは間違いありません。しかし、将来的に残業代請求等をおこなうためには、指示があったことを録音などの何らかの方法で記録しておくことがベターでしょう」
ーー相談者は上司に強くもいえず、上司のことを誰にも相談できずにいるようです。事態を改善するには、どうすればよいでしょうか。
「事態を改善するためには、当該上司以外の会社の信頼できる人物や労働組合などに相談する、組合がない場合は地域のユニオンなどに相談する、自ら同僚などに声をかけて労働組合を結成する、などの様々な方法も考えられます。弁護士に相談することもできます。
あきらめずに、手立てを練ってみましょう」
【取材協力弁護士】
田村 優介(たむら・ゆうすけ)弁護士
ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、日本労働弁護団。残業代請求、不当解雇、パワハラなど、労働問題を多く手がける。共著「働く人のためのブラック企業被害対策Q&A」など。
事務所名:城北法律事務所
事務所URL:http://www.jyohoku-law.com/