東京に"暮らし辛さ"を感じる人は少なくない。キャリコネニュースが3月3日に配信した「東京暮らしに疲れた人々『通勤がラクな西日本に移住したい』『人が多くて歩くのに神経を使う』」が、ネット上で話題となった。
記事では、読者から寄せられた「東京に住んでいてしんどいと思うこと」を紹介。とりわけ注目を集めたのが、30代男性(年収500万円/IT・通信系)からの
「東京はお金がかかるし密。通勤がラクな西日本に移住したい」
という声だ。2ちゃんねるではスレッドが立ち、さまざまな意見が寄せられた。(文:okei)
「福岡、広島、仙台と赴任してたことあるけど、東京が圧倒的に便利で楽」
スレッドのコメントには「西日本は通勤が楽ってのがよく解らない」「西日本という謎の広範囲」などの異論が目立つ。
「西日本は地方都市も普通に通勤電車は混雑してるのに驚いた」
「なんだ?どういうロジックで西日本の通勤が楽なの?福岡、広島、仙台と赴任してたことあるけど、東京がそりゃもう圧倒的に便利で楽です」
結局人口の多い地域の電車は混むし、「楽じゃないよ、地方は車通勤が当たり前だし」という指摘が少なくない。西日本という大きなくくりで語られても困る、地方も甘くないという意見はもっともだ。
また、「大阪を中心にした関西」と「東京」を比較し反発し合う場面も。あくまで個人の意見だろうが、「東京の息苦しさ」に対し、「関西はよそ者が馴染みにくい排他性を感じる」「東京など関東のほうがよほど住みやすい」と主張する人が散見された。
しかし全体的には「東京のほうがいい」という意見が多い様子で、"稼げる仕事があること"が大きな理由だ。
「俺が東京で良かったと思うのは、俺はどうしようもない人間なんだがウーバーで結構稼げるようになってしまったこと」
と複雑な心境を語る声も。美術館や展示会など文化資本の高さなども挙がっている。
やはり東京離れ?昨年、転入超過数が最も多かった市町村は大阪府
一方で、スレッドのコメントには、記事の"東京の暮らし辛さ"に共感し、
「ぶつかっても足踏んでも謝らないのがデフォルトです」
「東京は謝ったら負けみたいな奴多いよな」
など、東京の悪いところを指摘するコメントも少なくない。道路網とインターネットの発達、自動車の自動運転技術などを挙げ、東京は「完全にオワコン化する」と断言する人も。
昨年、人材サービスのパソナが兵庫県淡路島に本社機能を移転する準備を始めて話題となったが、現実的な移住先として「横浜(神奈川)、埼玉、千葉、茨城、名古屋(愛知)」を挙げる声もある。「東京も人減ってきたけどな。近所の新築マンション全然入居してない」などの実感を語るコメントもあった。
総務省統計局が今年1月29日公表した「住民基本台帳人口移動報告」によれば、2020年に転入超過数が最も多かった市町村は、大阪府大阪市(1万6802人)だ(日本国内の人口移動のみ)。2位は東京都特別区部(1万3034人)、3位が神奈川県横浜市(1万2447人)となっている。東京よりも大阪への移動が多かったことは興味深い。
また、東京よりも神奈川、埼玉、千葉にマンションを買う人が前年比で増えたというデータもある。不動産経済研修所が2月18日に発表した「首都圏のマンション市場動向(2021年1月度)」によれば、地域別発売戸数は東京都で415戸だが、前年同月比43.5%減と大幅に減っている。これに対して神奈川県は380戸(同113.5%増)、埼玉県158戸(同167.8%増)、千葉県228戸(同132.7%増)と好調だった。
テレワークの普及で、住居費の高い都内に住まなくてもいいと考える人が増えたためだろう。西日本に移住するかどうかは別として、コロナ禍で「東京離れ」を決断する動きがあるのは確かなことのようだ。