スペインのモーターランド・アラゴンで2月下旬に開催された第2回合同テストに続き、Pure ETCR(ピュアETCR)の第3回公式テストが早くも実施され、TCR規定車両をベースとしたフル電動ツーリングカーのヒュンダイ・ヴェロスターN ETCRとセアト・クプラe-Racerが、イタリア・バレルンガに集結。参加が予定されていた“第3のモデル”ことアルファロメオ・ジュリアETCRは姿を見せなかったものの、両陣営が精力的にマイレージを重ねている。
2021年6月に初年度開幕を控えるピュアETCRは、そのオープニングに向け立て続けにテストを計画しており、3月1~3日にはWSC主催の公式セッションが実施された。
クプラ・レーシングは前回のテスト後にレギュラー起用がアナウンスされたWTCR世界ツーリングカー・カップ参戦組のミケル・アズコナに加え、長年にわたり開発ドライバーを務めて来たジョルディ・ジェネが参加。3日間のプログラムでマシンをシェアした。
「ここバレルンガでのこのテスト結果には本当に満足している。こうして開発を続けている期間、僕らのクプラe-Racerを毎日よりよく知ることができるからね」と語ったジェネに続き、前回が電動車両初ドライブだったアズコナも「初めてクプラe-Racerのステアリングを握れたのは、僕にとって特別な瞬間だった」と、その興奮を思い起こしつつ、今回のテストでの手応えも口にした。
「僕はこのクルマが本来、どのように機能するかを発見して驚いたよ。マシンが持つパワーは本当に信じられないほどだ! 今回のテストを含めて多くのkm数をドライブし、できるだけ早くマシンを知り、理解を深め、この新しいレースの時代に備えるよう努めていくつもりだ」とアズコナ。
■トラックに水を散布し、ウエットコンディションでのテストも実施
一方、ヒュンダイ・モータースポーツの開発ドライバーを務めるアウグスト・ファーフスとジャン-カール・ベルネイも、前回に引き続きヒュンダイ・ヴェロスターN ETCRで充実のスティントをこなしている。
「シーズンの始まりが近づけば近づくほど、テストはますます重要になっていくんだ」と語ったファーフス。
「現在、僕らはマシンの性能を調査してパッケージを最適化しようとしている段階にある。今回も天気は素晴らしく、僕らが多くのマイレージを完了し、重要なデータを収集するのに役立ったよ」
両陣営は、バレルンガのインターナショナル・レイアウトと、ショート版のクラブ・レイアウト(それぞれ4085mと1746m)の双方を使用し、ハンドリングとパフォーマンスを最適化するため複数のセットアップ構成にトライし、挙動の理解に焦点を合わせたメニューに取り組んだ。
また、火曜と水曜の午後には雨のセットアップをテストするため、クラブ・レイアウトで人為的にウエット・コンディションを作り出してのセッションも実施されている。
「今回は非常に良い気象条件で、とても興味深いテストになった。アウグストとはたくさんの情報交換をすることもできたよ。ウエット・トラックで最初のテストを経験できたのも興味深かった。やりがいがあったけど、少し注意が必要でもあったね」と、首尾を振り返ったベルネイ。
WSCは開幕までの期間で引き続き合同テストのプログラムを継続し、3月22~24日のスケジュールを予定する次回も、同地バレルンガでの開催を予定。すでに公式ラウンチ済みのアルファロメオ・ジュリアETCRも、地元テストへの参加を見込んでいる。