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寿美菜子にとってのバレンタインは「スフィア結成の日」 幼少期の甘酸っぱいエピソードも【寿美菜子のAnother Wonderland in the UK 第11回】

2021年03月03日 19:42  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

寿美菜子にとってのバレンタインは「スフィア結成の日」 幼少期の甘酸っぱいエピソードも【寿美菜子のAnother Wonderland in the UK 第11回】
現在イギリスで生活中の声優・寿美菜子さんが、イギリスでどんな日常を送っているのか、寿さんの言葉でリアルに伝えていくインタビュー連載「寿美菜子のAnother Wonderland in the UK」。

前回は、セカンドロックダウンが明けたにも関わらず、すぐにティア4(※警戒レベルが最も高い数字)、そしてロックダウンに入ってしまったイギリスの現状や、そんな中で過ごしたクリスマスの思い出を直撃。さらに、日本の年末といえば『紅白歌合戦』ということで、寿さんに影響を与えたアーティストや、このイギリス生活を支えている楽曲についてなど、たっぷりと話をお聞きしました。

第11回となる今回も、寿さんが撮った写真とともに先月のイギリス生活を振り返ります。ロンドンに珍しく雪が降った風景や、「1月で一番楽しかったかも」と語るBurns nightの様子、さらにバレンタインにまつわる幼少期の甘酸っぱいエピソードにも迫りました!
[取材・文=米田果織]

■新曲「スクランブルデイズ」MV撮影秘話! “一発撮り”しなければならなかった理由とは…
――日本は現在16時でまだ明るいのですが、寿さんの背景は真っ暗ですね。

寿:イギリスは現在、朝の7時です。イギリスの冬の朝は日の出がかなり遅いので、目を覚ましても「朝だ~!」という感じではないですね。

――先日、ブログやYouTubeで雪が降った様子を紹介していました。今もとても寒いのではないでしょうか?

寿:かなり寒いです。でも先日の雪は、ロンドンでは本当に珍しいことなんです。積るのなんて2~3年ぶりなんですって!


――そんな1月は、寿さんにとってどんな1カ月でしたか?

寿:年が明けてすぐに3度目のロックダウンに入ってしまいましたが、オンラインで学校が始まり、お仕事もたくさんさせていただきました。ありがたいことに充実した1カ月でしたね。

――そう言っているうちに、窓の外が明るくなってきましたね。

寿:わ、本当だ! 私、イギリスの朝が大好きなんです。昼間は曇っていることが多いのですが、朝は比較的晴れていることが多いからです。
だんだん光の範囲が広がってきています。(カメラを向けて)見えますかね? 良かった、今日の朝も晴れてる!


――すごくキレイですね!

寿:日の出を見ると、いつもサバンナにいる気分になります(笑)。

――そういえば、2月15日に発売となったスフィアの新曲「スクランブルデイズ」も、寿さんの背景は薄暗いお庭の様子でしたね。


寿:そうなんです! イギリスの冬は日没も早くて……。あの映像を撮影したのはまだ16時だったのに、あの暗さでした。
「お庭で撮ろう!」と決めて外に出た頃には、もう暗くなり始めていて、早く撮らないと本当に真っ暗になっちゃうから「この1回が勝負!」という緊張感の中で撮影しました。

――そうだったんですね! そんな色々あった1月を、またお写真と共に振り返っていきましょう。

■「1番楽しかった」Burns nightを振り返る


――このベレー帽のお写真は、ブログにあげていた「☆Burns night☆」のものでしょうか?

寿:そうです! 1月はこれが1番楽しかった出来事かもしれません。

――Burns nightは、スコットランドの詩人・ロバート・バーンズの生誕や詩をお祝いする日だそうですね。具体的にどんなことをされたのでしょうか?

寿:まず知らない人には「ロバート・バーンズさんって何者?」って感じだと思いますが(笑)、私も調べてみて驚いたのは、あの「蛍の光」原曲の作詞者なんです。

その方のお誕生日を祝うために、スコットランドの伝統料理などをみんなで食べたり、バーンズさんの詩を読んだり、踊ったりするのが通常のイベントの様子だそうです。今年はおうちの中で、ホストファミリーと私の3人だけでパーティーをしました。

――このベレー帽は、バーンズさんのトレードマークだったとか?

寿:いや、そういうわけではないんです(笑)。ホストマザーが買ってきてくれたのですが、スコットランドはタータンチェックが有名なので、一番取り入れやすいものだったのではないかなと思います。

これはロイヤルタータンというのですが、王室が使うタータンチェックなので一番有名な柄です。
スコットランドでは家紋として使われることが多いそうで、柄が全部違っているんです。私はこの日、たまたま持っていた水色のチェックのスカートを履いていたのですが、もしかしたら誰かの家紋だったかもしれませんね(笑)。

――それは興味深い。続いてのスイーツのお写真も、Burns nightに関わってくるのでしょうか?


寿:これはラズベリーやオーツ麦など、スコットランドの名産を使った「クラナカン」と呼ばれるデザートです。この前に「ハギス」という羊の内臓を羊の胃袋に詰めて茹でたものを食べたのですが、それをほどよくマイルドにしてくれる、優しいスイーツでした。
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■「〇〇が恋しい…」寿美菜子が求める日本の“あるもの”とは

――続いてもまた美味しそうな写真ですが……見た目もすごくかわいいですね。

寿:ですよね! これはホストマザーの手作りなんです。タルトに絶妙な甘さのクリームと、その上にフルーツが乗っていてすごく美味しかったです。

――次の写真は、バレンタインチョコでしょうか?


寿:お仕事でチョコレートを集める機会があって、購入した内の1つです。見つけた時に「すごく美味しそう!」と思って友達にシェアして、「買ったら送るね!」なんて言ってはいたのですが、びっくりするくらい賞味期限が短くて、「これはもう…私がいただくしかない!」と思い、ホストファミリーと映画を見る時や勉強する時に一緒に食べて、無事に全部たいらげました(笑)。

――寿さんがオススメする、イギリスのチョコレート店などはありますか?

寿:私が一番好きなのは「ホテルショコラ」です。昨年のアドベントカレンダーも買ったくらいで、そこのチョコレートティーも美味しいんですよ。

――続いてはシーフードのお写真ですね。寿さんが麺好きなのは有名ですが、これまでにご紹介いただいた写真は、鮮魚系が多い気がします。


寿:確かに、そうかもしれないです。ホストファミリーとの食事ではお肉を食べることはあるのですが、平日の自炊では「野菜か魚か」というチョイスな気がします。
イギリスのお刺身が思った以上に美味しいんです。日本にいるときより魚が好きになりました。

――料理をする機会も増えたのでは?

寿:日本にいる時は外食がほとんどだったので、イギリスに来てからは料理をすることが増えました。家から出ることも少なくなったので、あまり体が疲れていないから「ヘルシーで美味しいもの」を考えると、やはりお魚になってしまいます。

――お話を聞いていると、とても食を楽しんでいるように感じます。日本食が恋しくなることもあまりないですか?

寿:卵かけご飯が食べたいです! イギリスは卵を生で食べる習慣がないですし、半熟でもお腹が痛くなってしまったことがありました。
在英の日本人の方の情報を収集して、ちょっとずつ色んな卵を試してはいるのですが……と言ってもそんなに頻繁にお腹を壊したくないので、あまりチャレンジすることもなく今に至ります。日本の卵かけご飯が恋しいです……(笑)。

――食事といえば、ブログに「治一郎」のバームクーヘンにテンションが上がったと書かれていました。

寿:すごく大げさに聞こえるかもしれないのですが、「ずっと埋めていた宝箱を引き出した!」という感じがしました(笑)。イギリスにも和菓子屋さんはたくさんあるのですが、あの治一郎の“優しい感じ”はやっぱりなかなかないんですよね。

一口食べた瞬間に、頭の中に走馬灯のように治一郎との思い出が流れて、「美味しい!」「これを求めていたんだ!」と体が瞬時に思い出しました。

■「バレンタイン」にまつわる幼少期の甘酸っぱいエピソードに迫る!
――イギリスは日本と違い、バレンタインは男性から女性に愛を伝える日。「紳士の国」と呼ばれるイギリスなので、バレンタインのプレゼントもオシャレで凝ったものが多いのでは?

寿:本来は街中がバレンタイン仕様になるそうなのですが、このご時世もあってか「日本のスーパーにあるバレンタインコーナーと同じ感じ」というのが今の状況です。イギリスは、薔薇とチョコとカードをプレゼントするのがベーシックなんだそうです。


――“英国紳士”という言葉もあるほどなので、「イギリスの男性は紳士的だな~」と感じたエピソードを教えてください。

寿:エスカレーターやドアなどは、ほぼ必ず「お先にどうぞ」と譲ってくれますね。
また、これはイギリスの男性に限ったことではないのですが、素敵だなと思ったエピソードがありました。今、郵便局が人数制限していることもあって、毎回1時間近く並ぶんです。その時は窓口担当の女性が1人だけで一生懸命対応していたのですが、私の前に並んでいた男性が待ち時間が長くてかなりイライラしていたんです。

そのテンションのまま店員さんに八つ当たりしている人を日本で見かけたことがあったのですが、その時はいざ男性が自分の順番になると、女性に対して「How Are You?」という挨拶から入っていたんです。イライラしていても、お互い気持ち良い関係性であろうとする行動が「ジェントルだな」と感じました。

それって、簡単にできないことですよね。見ていてすごく気持ち良く感じたので、私もその日は「How Are You?」からやり取りを始めました(笑)。

――自分も心にゆとりを持って生きたいと思える、素晴らしいエピソードですね。バレンタインに話を戻して、何かバレンタインにまつわる思い出があれば、教えてください。

寿:私の中のバレンタインの印象として一番強いのは、「スフィア結成イベント」です。結成日が2009年2月15日なのですが、その時に「チョコ祭り」というイベントをやらせていただいて、そこでスフィア結成を発表させていただいたんです。

その時は、浜離宮(イベント会場)に来てくださった方にチョコ付きのメッセージカードをお配りしました。今じゃなかなかできないことだと思うので、すごく印象に残っていますね。

――甘酸っぱいエピソードなどはありますか?

寿:おそらく幼稚園のバレンタインが一番甘酸っぱいのではないかと思います。すごくたくさんの数のバレンタインチョコを渡したんです。好きな子がたくさんいたからなのですが(笑)、その後、バレンタインが過ぎてから好きになった男の子がいて「その子にもチョコを渡したい」とお母さんに言って、アポロチョコを自分で作るキットでチョコを作って、渡した思い出があります。

……今思うと、すっごくませた子どもですよね(笑)。

――(笑)。渡した時、男の子は喜んでいましたか?

寿:渡した時の反応は覚えていないのですが、ちゃんとお返しはいただきました。かわいらしいやりとりをしましたね。

――女子にとっては、友達同士でのやり取りもバレンタインの醍醐味ですよね。

寿:女子校だったので、みんなビジュアルを気にせず、そのままタッパーに入れて手作りチョコを持ってきていました。女子校あるあるです(笑)

――ちょうどスフィア結成日のお話もあったので、発売となった新曲「スクランブルデイズ」の聴きどころも教えてください。

寿:タイトルにもあるように「良いことも悪いことも、みんなで“交わり”ながら日々進んでいく」ということを伝えられたらと思って作りました。なので、ジャケットやMVにもファンのみなさんに参加していただいて、それにより1つの作品が完成しました。

「スクランブルデイズ」ジャケット

奇跡的な1曲が生まれたと実感しております。この曲を聞いて、大きな1歩じゃなくても、少しずつ動き出すきっかけになっていたら嬉しいです。ぜひ聴いてくださいね。

――ありがとうございました!


寿美菜子 プロフィール
『泣きたい私は猫をかぶる』深瀬頼子役
事務所の同期である、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生とのユニット「スフィア」のメンバー。