“ダイバーシティ(多様性)”という言葉をあらゆる場面で耳にするようになった。すでに「男だから」「女だから」と性別によって“あるべき姿”を固める時代ではないのだが、いまだにステレオタイプな人たちは存在する。弟が家事を一切やらないことに不満を募らせていた埼玉県の女子大生(20代/年収100万円未満)は、何気なく大学教授に愚痴をもらしたが、
「弟は男なんだからそんなもの。君は女だから家事を負担するのは仕方ない」
と返され愕然。「『女だから当然。男はやらなくても良い』と役割を押し付けられた気がして。自分が女でなければ、こんな風に言われなかったのでは」と心境を語る。信じがたいことに、このような前時代的な価値観は至るところに散らばっているようだ。(文:大渕ともみ)
上司にセクハラを訴えても「触られないよりはいい。女として見られているってことだから」
契約社員の30代女性(静岡県/年収300万円)は、これまで職場を転々としてきたが「『女だから』と見下すような発言を散々言われてきました」と打ち明ける。
「『女は子どもを産む機械。仕事なんかより子どもを作れ』『女は結婚すると会社を辞めるんだから意見を言わなくていい』など。仕事をする中で、女という性別はマイナスにしかならないのでしょうか」
職場で受けた心ない言葉に不快感をあらわにする女性だが、酷い仕打ちはそれだけではない。「胸を触られるなどセクハラもありました。上司に訴えても『触られないよりは女として見られているってことだからいいじゃないか』と相手にしてもらえませんでした」と憤る。「これは相当なレアケースである」と思いたくなるほど、あまりに衝撃的なエピソードだ。
公務員の男性「育休取得者の穴埋めを期待されるばかり。男性は育休を取りづらい」
性別によるステレオタイプに悩むのは女性ばかりではない。都内の公務員の男性(30代/年収600万円)は「男は稼ぐ以外の選択肢がない」と切り出し、
「男性は育休取得者の穴埋めを期待されるばかり。反対に男性が育休を取ることは、職場の雰囲気的に想定されていない」
と嘆く。公務員の男性ですら育休を取得しづらいのだから、民間企業は推して図るべし。問題はかなり根深いと言えるだろう。
北海道の40代男性(営業/正社員/年収1100万円)は「男女平等を謳う割に、女性贔屓を多々感じる」と本音をこぼす。男性は「デートや婚活サービスなどの費用負担の男女差、女性専用車両はあるのに男性専用車両はないこと、昇進における女性優遇など」と具体例を列挙。
「今までの社会の“女性に優しい部分”は変えないまま、男女平等を訴える人がとても多いと感じる」
と不満を述べた。男女関係なく、あらゆる人に優しい“ダイバーシティ社会”の実現を願うばかりだ。
※キャリコネニュースでは引き続き「男だから」「女だから」自分の性別がマイナスになっていると感じたことや「仕事バックレた・バックレられたエピソード」などのアンケートを実施しています。