お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが2月28日、ツイッターで外来ザリガニの放出について注意喚起した。
外来ザリガニはペット用途などで広く飼育されてきた。だが、近年は放された個体が生態系に被害を与えるなどとして社会問題化しており、昨年11月にはアメリカザリガニを除くほぼすべての外来ザリガニが特定外来生物に指定されている。野外に放つだけでなく、飼育や運搬、販売・譲渡することも規制されている。
「池の水抜いてるとよく見かける…生物に罪はない…人が裁かれるべき」
田村さんはツイッターに、環境省のパンフレットを引用して「外来ザリガニを川や池に放つと300万円以下の罰金。3年以下の懲役。法人だと1億円以下の罰金」などと投稿。さらに、
「池の水抜いてるとよく見かける…生物に罪はない…人が裁かれるべき」
と意見を述べ、飼い主の無責任な行動に釘を差した。
特定外来生物は、外来生物法に基づいて現在156種(生物全体)が指定されている。指定の背景はさまざまだ。日本古来の生態系に影響を与える種だけでなく、農林水産業に被害を及ぼす種なども指定されている。
環境省によると、外来ザリガニはこれまでに約5種が指定されていたものの、昨年11月にアメリカザリガニを除くすべての外来種が指定され、約678種にまで増えた。同省の担当者は、指定の背景について
「日本の河川、湖沼にいる在来の日本ザリガニと餌や住処を取り合ったりしてしまうほか、甲殻類にかかる『ザリガニペスト』という感染症もあり、在来種には耐性がないことから影響が広がりやすいと言われています」
また、水草を切ってしまう外来種もおり、植物そのものはもちろん、住処にしている湖沼の生態系全体に影響を及ぼしてしまうという。
アメリカザリガニは指定対象外になった理由は?
とは言え、国内に入ってきている外来ザリガニの種類はそれほど多くなく、まだ国内で確認されていない種についても「被害を未然に防ぐ」という意味で指定を行っている。
例えば、外来種のウチダザリガニは北日本を中心に広く湖で確認されているものの、ミステリークレインフィッシュについては、北海道と愛媛県の2か所で確認されているのみで、定着(繁殖)の可能性は低いとされている。
外来のザリガニが日本に入ってくる経路は、種によって多種多様だ。担当者は、
「多くの種はペットとしてこれまで飼われてきた経緯があります。ペット目的の輸入が多いと考えられてきました」
一方、ウチダザリガニについては「ロブスターに似た味」という理由で、食用として国内に入ってきた背景がある。今回の規制から外れたアメリカザリガニは主に90年代、中華料理に使用される食用のウシガエルの餌として輸入されたのが最初だったという。
アメリカザリガニは、現在もペット用途で広く飼育されているほか、観賞魚の餌用としても需要があるという。
「小学校の授業で活用されたりとか、子どもが近所で採ってきて飼ったりとか、最も身近な種になります」
と紹介する。特定外来生物に指定されると、厳しい規制がかかることになる。
「アメリカザリガニを指定した場合、誤解されて逆に野外に放たれることなどが予想されます。国内の一部には、まだアメリカザリガニが侵入していない地域もありますので、影響を考えた上で今回の指定は見送っています」
国内の川や池などに生息するミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)も同様の理由で指定が見送られたという。
特定外来生物は、指定された生物の飼育を禁じているが、指定前から飼っていた個体については申請手続きを踏まえた上で飼い続けることができる。担当者は、
「やはり最後まで飼っていただきたい、途中で放したりしないでほしいというのが一番です。今後も普及啓発につなげていきます」
とコメントしている。