新型コロナウイルスの影響で、おうち時間が増加し、一人または家族との宅飲みが増えがちな昨今。酒量が増えて健康を気にしている人も多いことだろう。
そうした背景もあってか、「糖質ゼロ」のアルコール飲料を飲む人も増えている。キリングループによると、今年1月の糖質オフ・ゼロ系ビール類の売上は昨年比4割増。各社糖質ゼロを謳うビール類を販売しているが、実際にどれが美味しいのか飲み比べてみた。
「糖質ゼロ」の味わいは? 糖質アリとどれくらい違う?
今回、飲み比べたのはアサヒビールの「アサヒオフ」「アサヒスタイルフリー」、それとキリンビールの「淡麗プラチナダブル」「一番搾り糖質ゼロ」の4種類。いずれも糖質ゼロの商品だ。日本ビール検定3級取得、ビールはリットルで飲みたい酒クズな筆者がひとつずつ紹介する。
1.アサヒオフ(税込118円)
糖質・プリン体・甘味料すべてゼロの発泡酒。カロリーも100mlあたり22kcalと非常にヘルシー。味わいはトリプルゼロとあってさっぱりしている。悪く言えば水っぽさを感じ、限りなくノンアルコールビールに近い。旨味成分であるプリン体っておいしいんだな……と思った。
2.アサヒスタイルフリー(税込150円)
糖質ゼロの発泡酒。パッケージに冠される「生」は何を意味しているのか。ビールらしい飲みごたえを重視しているだけあって、飲んだ瞬間に「麦の味だ!」となる。麦を押し出すことでビールらしさを出しているように感じた。100mlあたり24kcal。
3.淡麗プラチナダブル(税込151円)
糖質・プリン体ゼロの発泡酒。アサヒオフ同様、少し水っぽさを感じる。違うのは甘味料入りなのでほのかな甘味を感じること。発泡酒は甘味料を入れることでビールっぽさを出すものも少なくはないが、加えてキレの爽快さで飲みごたえがアップしているように感じる。100mlあたり31kcal。4商品の中で最もカロリーは高い。
4.一番搾り糖質ゼロ(税込219円)
今回取り上げた糖質ゼロのビール類の中で、唯一の"ビール"。前述の3商品は「麦だ!」「甘い!」といった"ビール感"で勝負しているように感じるが、そういったものがない。違和感なく飲むことができる。4商品の中では最も通常のビールに近く、さすがビールと思った。それでも100mlあたり23kcalなので驚きだ。
なお、通常の「一番搾り」(税込217円/100mlあたり40kcal)と飲み比べると、糖質ゼロのほうが少し強炭酸だが、味自体に大きな差はないように感じた。カロリーも約半分なのに糖質ゼロの"ビール感"は目をみはるものがある。逆に糖質ってそんなにカロリーあるの……?と怖くなってしまう。
とはいえすでに酔いが回っているので舌がバグっているのかもしれない。自信は持てない。ただ通常のほうが、ふくよかな味わいで柔らかい気はする。何より泡がクリーミー。泡がうまい。やっぱビールは泡だ。
ビールには糖質は欠かせないのかもしれない。そう思い、同じキリンビールで糖質ゼロの「淡麗プラチナダブル」、糖質75%オフの発泡酒「淡麗グリーンラベル」、通常のビール「淡麗」を飲み比べた。
結果、見事に"ビールっぽさ"のグラデーションを感じた。グリーンラベルは炭酸の強さでビール感を押し出しているが、淡麗はちょっと薄いビールといったところ。顕著だったのが泡で、グリーンラベル、淡麗と糖質が増えるにつれ泡立ちもよく感じた。糖質はすごい。
糖質ゼロ+糖質オフ+ビールの計7種類をブラインドで利きビール!
とはいえ、世間は健康志向だ。糖質ゼロも各々ビール感を出そうとがんばっている。ただ、それぞれ味の違いはわかったものの、それはラベルを見ながら比較してのこと。銘柄を隠し、ブラインドテストもやってみた。
「糖質ゼロビール類」4銘柄だけだと、麦感の強い「アサヒスタイルフリー」と、やっぱりビールの「一番搾り糖質ゼロ」は当てることができた。「アサヒオフ」「淡麗プラチナダブル」は甘味料の有無でわかるはずが外してしまった。悔しかった。
次に、糖質ゼロビール類と通常のビール、全7銘柄でやってみた。糖質・プリン体・甘味料ゼロの「アサヒオフ」、ビールの「一番搾り」、発泡酒の「淡麗」は当てることができた。しかし、「アサヒスタイルフリー」と「淡麗プラチナダブル」、「一番搾りゼロ」と「淡麗グリーンラベル」をそれぞれ間違った。
「アサヒスタイルフリー」と「淡麗プラチナダブル」はどちらも糖質ゼロ発泡酒。一方、「一番搾りゼロ」と「淡麗グリーンラベル」は糖質ゼロビールと糖質オフ発泡酒。この間違いが興味深かった。
常にリットルで飲みたいほどのビール好きの筆者としては、糖質ゼロビール類の中では「一番搾り糖質ゼロ」が美味しく感じた。
しかし、さっぱり系が好きな人、プリン体を抑えたい人、甘味料を摂りたくない人など、嗜好や健康面でチョイスしたいものはそれぞれだろう。ただやっぱり糖質ありのビールは格別に格別だな、とコロナ禍で増量した体重を実感しながら思ってしまう。