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昭和の大女優から「刀剣乱舞」まで…舞台映像1300本を収集した「特設サイト」がオープン

2021年02月23日 10:11  弁護士ドットコム

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コロナ禍で打撃を受けている舞台芸術界を支援するため、劇団などが持っている舞台作品の映像をデジタルアーカイブして、検索できるようにする特設サイトが2月23日、スタートした。


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デジタルアーカイブの対象となったのは、演劇、舞踊、伝統芸能の3つのジャンル。昭和の名優、杉村春子さんが主演した「女の一生」など歴史的名舞台から、近年人気の「ミュージカル刀剣乱舞」まで、舞台作品の映像約1300点がコレクションされている。



特設サイトでは、横断検索ができるほか、一部の作品はオンラインで有料配信し、関係者に収益を還元していく。



●収益強化の仕組みづくり



この特設サイトは「Japan Digital Theatre Archives」( https://www.enpaku-jdta.jp )。これまでに収蔵品のデジタルアーカイブ化で高い評価を得てきた早稲田大学演劇博物館(えんぱく)が運営する。



プロジェクトは、緊急事態舞台芸術ネットワーク(代表世話人:野田秀樹氏ら)と、アート事業を手がける「寺田倉庫」が受託した文化庁の「緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業」(EPAD)の一環で、予算規模はこの種の事業としては野心的な7億5000万円となっている。その約半額は、対価として現場に直接還元される。



舞台の主催団体の協力を得て、新旧の公演映像などを収集・配信することにより、文化の保存とともに、コロナ禍での新たな鑑賞機会を広げ、収益強化をしていくという。



えんぱくは、映像のほか、EPADで収集された戯曲約550点、美術資料約2500点も保存している。今後、「Japan Digital Theatre Archives」の取り組み以外にも、EPADでは、配信プラットフォームを利用して、230本以上を商用配信する予定だ。



●福井健策弁護士「画期的な転機」

こうした舞台芸術作品は、これまでライブでの鑑賞に重点が置かれ、デジタル化やオンラインでの配信は遅れがちだった。また、旧作品についても、著作権や著作隣接権が複雑で、権利の許諾をとることが困難だった。その結果、散逸し失われて行く貴重な作品も多い。



このため、EPADでは著作権にくわしい弁護士や弁理士の専門チームが、権利処理にあたった。EPADの実行委員である福井健策弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に、今回の取り組みについて次のようにコメントした。



「日本では、消えていく舞台映像や資料の収集は、ながらく関係者の悲願でした。今回、政府支援を受けて多くの団体が集結、コロナ禍に苦しむ現場に対価を還元しつつ、作品の収集が一気に進んだことは大きい。



権利者団体の全面協力も受けて、これまで難しかった映像配信のための権利処理も急ピッチで進んでいます。まさに、舞台芸術史の貴重な記録を未来に残していくうえで、画期的な転機だと感じます」