今まで"東京で注目の街"といえば、都心部を指すことが多かった。しかし近年、立川が急激に支持を集めているという。元々、JR中央線の駅の中では1日の乗車人数が新宿、東京に次ぐ3位ではあるが、郊外の駅のひとつでしかないと捉えている人も多い。
鉄道事情にも詳しい恋愛コンサルタントの鈴木リュウさんは、
「立川は開発が進み、現在は独自の発展を遂げています。近年の変貌ぶりはめざましく、立川は、新宿・渋谷に匹敵、というより"戦わずして勝てる街"。港区女子も注目していて、"日本のフロリダ"とも言われています」
と説明する。
2020年開業!ソラノホテルのインフィニティプールで映え写真
立川は都内でも商業施設が多い街だ。駅前にはルミネやIKEAなどもあり、「立川駅から半径1~2キロ圏内で衣食住のすべてが揃います。新宿に行かなくてもいい街ですね」と太鼓判を押す。
2016年には立川駅直結の高層タワーマンション「プラウドタワー立川」がオープン。通常、都心から離れるほどマンションの価格は下がっていくが、「立川は例外的に人気が高く、プラウドタワー最上階の価格は2億円と言われています」と話す。
「長年、中央線沿いで新宿の次に発展しているのは八王子と言われていましたが、立川は2005年ごろから駅前の開発が進み、急速に発展していきました。同時期、八王子はそごうが撤退し、後に逆転。いまは立川一強ですね」
八王子は"昔からの市街地"であり大規模な開発は難しい。一方、立川は米軍の基地の跡地があり、開発余地があった。駅周辺は商業・業務施設「ファーレ立川」、立川飛行機の工場跡には「ららぽーと立川立飛」となり、街の発展に寄与した。
飛行場跡地である「国営昭和記念公園」は「敷地面積は新宿御苑や代々木公園の3倍、東京ドーム39個分。1周するには自転車に乗っても30分はかかるほど」の広さだ。四季折々の植生やイベントが楽しめ、"立川市民の庭"と称されている。
「この昭和記念公園に面した『ソラノホテル』が2020年4月に開業したのですが、四季折々のインスタ映えの場所として支持されています。特に最上階11階にはインフィニティプールがあり、海外のリゾート地のようだと人気です」
インフィニティプールは、プールのふちに手すりなどがないため、水面と空が融合しているかのように見える。"映え"スポットとして写真撮影も捗るだろう。目前の昭和記念公園のほか、富士山も臨むことができる。
「インスタで検索すると、リッツ・カールトンやペニンシュラなど高級ホテルに足を運んでいる港区女子がこぞってソラノホテルの映え写真を投稿しています。港区女子が帰る場所は三軒茶屋から二子玉川など世田谷エリアが多いんですが、わざわざ沿線ではない立川まで行っているんです」
立川では都心部から郊外へと言う「逆流現象」が発生していると指摘する。IKEAなどがあるため、以前から立川を訪れる23区民はいたが、ソラノホテルでさらに増加しそうだ。
新宿がニューヨークとすると、立川は"日本のフロリダ"
立川は新宿より安く衣食住が済ませられる"ジェネリック新宿"として発展してきた側面がある。鈴木さんは「今では都心部とは異なった独自の魅力のある場所になっています。都心部でゴミゴミした新宿がニューヨークとすると、立川は"日本のフロリダ"とも称されます」と説明する。
「基地があったので道路は広く、オープンカーなどで車を走らせると気持ちがいいです。甲州街道沿いに日野市へいくと多摩川の河川敷でバーベキューもできますし、北へ行くと西武遊園地や多摩湖などが楽しめる埼玉県所沢市があります。南側にはすぐ中央道があり、河口湖まで1時間程度。車を利用する人にとっては好アクセスなスポットですね」
また、車で30~40分程度の町田には「コストコ」があり、「車で移動して倉庫みたいなところで大きなカートに日用品や食料品をいっぱい乗せる。アメリカっぽい買い物スタイルもできます」と話す。
郊外在住というと家族連れが多い印象があるが、意外に若い単身者も多いという。「中野だと家賃が高く、武蔵境になると家賃は安いけど駅前になにもない。なら思い切って立川にという人も多いです」のことだ。
「定期券で新宿に行けるので、中央線の各駅も楽しめます。一方、リモートワークという人にとってもこの街で生活が簡潔できるので、低コストで良質な生活が送れます」