2021年02月22日 10:11 弁護士ドットコム
かつての不倫相手に「昔のことをバラす」と脅されている——。そんな女性からの相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
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女性は結婚ほやほやで、夫との穏やかな生活に幸せを見出していました。そんなある日、過去に付き合っていた男性が、女性の自宅に現れて「昔のことをバラす。嫌ならまた付き合え」と迫ってきたそうです。男性はその後、何度も家にやってきました。
相手の男性は職場の上司で、しかも既婚者。女性は「過去に不倫していたことを夫に知られたくない」と複雑な事情を明かします。相手の訪問をやめさせ、関係を絶つためにはどうすればよいのでしょうか。吉成安友弁護士に聞きました。
——過去の事実をちらつかせ、交際を迫っているようです。
元交際相手の行為は、ストーカー規制法上の「つきまとい等」や「ストーカー行為」にあたると考えられます。
「つきまとい等」は、特定の者に対する恋愛感情やそれが満たされなかったことへの恨みなどから、本人やその関係者に(1)つきまとい、待ち伏せなど、(2)監視していると思わせるような内容を告げるなど、(3)面会、交際その他の義務のないことをおこなうよう要求すること、(4)粗野又は乱暴な言動、(5)無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNSなど、(6)汚物などの送付、(7)名誉を傷つけること、(8)性的羞恥心の侵害をおこなうことです。
そして、こうした「つきまとい等」を反復しておこなうことが(1~4や5のメール・SNSなどについては不安を覚えさせるような方法で)、「ストーカー行為」とされます。
「昔のことをバラす。嫌ならまた付き合え」とたびたび要求し、繰り返し自宅にも押しかけることは、恋愛感情から(1)や(3)の行為を行っているとして、「つきまとい等」にあたり、また「ストーカー行為」にもあたると考えられます。
——ストーカー行為をやめさせるにはどうすれば良いのでしょうか。
ストーカーの問題は、当事者間の話し合いでは、解決しないことが少なくありません。
その場合、有効な方法は、「警察による警告」です。「つきまとい等」を繰り返している相手に対しては、警察署長などから、やめるよう警告してもらうことができます。
また、公安委員会に行為をやめるよう禁止命令を出してもらうことができます。相手が禁止命令に従わずに、「ストーカー行為」におよんだ場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。
ストーカー規制法は万能ではありませんが、ストーカー規制法に基づく警察の警告にはかなりの効果があり、ほとんどの者が「つきまとい等」をやめています。
ストーカー問題は、長期化すればするほど、相手の執着が強まり、解決が困難になっていくケースが多いようです。深刻になる前に早期の対応をおこなうべきでしょう。
(弁護士ドットコムライフ)
【取材協力弁護士】
吉成 安友(よしなり・やすとも)弁護士
東京弁護士会会員。企業法務全般から、医療過誤、知財、離婚、相続、刑事弁護、消費者問題、交通事故、行政訴訟、労働問題等幅広く取り扱う。特に交渉、訴訟案件を得意とする。
事務所名:MYパートナーズ法律事務所
事務所URL:http://www.myp-lo.com/