トップへ

セックスレスで風俗へ行った40代男性の後悔…妻からは離婚を宣告され「性欲に勝てなかった」と涙

2021年02月21日 10:21  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

風俗に行った夫と離婚できますかーー。弁護士ドットコムには、このような女性たちからの相談が寄せられています。一方で、風俗に行ったために妻に離婚を突きつけられ、悩んでいる男性からの相談もみられます。


【関連記事:駐車場の車の中で寝ていただけなのに「酒気帯び運転」といわれた!どうすればいい?】



ある相談者(40代)は、過去に2度風俗に行ったことが妻にバレてしまい、「今度バレたら離婚だから」と言われていました。しかし、その後も風俗に足を運んでしまい、領収書を発見され、正式に離婚を突きつけられているとのことです。



相談者は2年前に妻の反対を押し切って自営業を始めたものの収入が激減。その後、妻とはセックスレスになってしまったため、風俗に足を運ぶようになったといいます。



「性欲に勝てずに風俗に行ってしまった私が悪いのですが、妻や子どもをないがしろにしてはいません。妻にとっては、よその女に行った時点でダメなのかもしれませんが…」と相談者は途方に暮れている様子です。



風俗に行くことは「不貞行為」として離婚理由になってしまうのでしょうか。長瀬佑志弁護士の解説をお届けします。



●風俗も「不貞行為」で離婚の原因になる

ーーそもそも、風俗での性行為も「不貞行為」にあたるのでしょうか。



はい。風俗での性行為も、不貞行為として離婚の原因になります。



妻とセックスレスだというような事情があったとしても、風俗での性行為が不貞にあたることは変わりません。妻が「離婚したい」と譲らず、裁判にまで発展した場合、相談者は劣勢に立たされるでしょう。



妻がいながら風俗を利用した人の中には、「風俗は遊び。本気の恋愛ではないから、不貞行為にならないはずだ」と主張する人もいます。



しかし、不貞の有無は、あくまでも客観的な事実をもとに判断されます。夫側が「あくまで遊びだった」と主張しても、裁判所が認めるとは限りません。



ーー風俗に行ったとしても「性行為」をしていない場合も考えられます。それでも「不貞行為」にあたるのでしょうか。



不貞には、「性交」だけでなく、オーラルセックスのような「性交類似行為」も含まれます。いわゆる「本番行為」がない風俗でも、その他の性的サービスを受けた場合は、不貞行為にあたるとされます。結論として、妻と離婚したくない夫は「風俗に行かないほうがいい」と言えるでしょう。



●妻からの慰謝料請求も覚悟した方がよい

ーー風俗に行くことが不貞行為にあたるならば、妻は相談者に慰謝料請求される可能性もあるということでしょうか。



はい。相談者は妻から慰謝料を請求されることも覚悟しておいた方が良いと思います。ただ仮に、10年以上など長期間セックスを拒否され続け、夫が風俗に行く前から「婚姻関係が破綻していた」ならば、必ずしも妻の慰謝料請求に応じる必要はないでしょう。



ただし、婚姻関係の破綻が裁判所に認められるためには、通常は別居していることが求められます。相談者のように、妻と同居し、セックスレス以外に特殊な事情がないとすれば、夫側は苦しい立場にあります。妻から慰謝料請求されたら、拒否は難しいでしょう。



なお、本件に関連する裁判例として、クラブのママがいわゆる「枕営業」として顧客と性交渉を繰り返したものの、妻との関係では不法行為を構成しないと判断した東京地判平成26年4月14日があります。



この東京地判に従えば、本件でも夫は不法行為責任を負わないと考える余地もあります。もっとも、この東京地判がどれだけの先例的意義があるかは疑問があります。



(弁護士ドットコムライフ)




【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)ほか
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所
事務所URL:https://nagasesogo.com