新型コロナウイルスの影響で、世の中の動き方が変わりました。リモートワークがメインになった人も多いかと思います。接骨院を経営する中で、増えてきたのが「腰痛」の相談です。
「家の椅子が合わずに腰が痛い」「座る時間が増えて腰が痛い」など、明らかにコロナ禍でリモートワークによる腰痛民の叫び声が増えている気がしています。この腰痛は撲滅できるのか、一生付き合わなければいけないのか。柔道整復師の筆者が解説します。(文:ちばつかさ)
"良い座り方"はあるけど、実際それで座り続けるの難しくない?
以前から、整形外科の医師を始めとした人から「こんな座り方は腰を壊しやすい。危ないよね」と言われていたかと思います。
その座り方は、椅子に浅く座る、脚を組む、肘をついて座るなど。このような"堕落した座り方"をしてしまう人を対象にした椅子もあります。ゲーミングチェアも適正な姿勢を長時間保てるという点で該当するでしょう。
たしかに首から骨盤にかけてS字状に連なる脊椎を不自然な状態に長時間さらせば、腰だけでなく全身に悪影響があることは容易に想像ができます。
しかし、注意して座ったとしても腰痛リスクが完全になくなることはありません。背もたれを使わず、頭が天井から引っ張られるように、そして耳介(耳の穴)、肩峰(肩の先)、大転子(太ももの付け根の骨)、が一直線になるように座るのが"良い"座り方とされています。でも、おそらくこんな良い姿勢で座り続けるのって、中々難しいですよね。
そもそも人間は長時間座っていられない
いくら良い姿勢だろうが、良い椅子に座ろうが、残念ながら長時間同じ姿勢を続ければ体はダメージを受けます。実際、「椅子を買い替えたのに腰が痛くなった」という声のほか、椅子だけでなく「良い布団に替えたのに腰が痛い」という相談もあるくらいです。
良い姿勢にしてくれるグッズは確かに良いものなのかもしれません。ですが、それに甘んじて長時間同じ姿勢をとってしまうのが一番の問題なのです。
座っていても他の座り方をしたくなる、寝ていても寝返りをうつなど"動きたくなる"という欲求は極めて自然なものです。なのに、体の声を無視して「仕事に夢中で」などと同じ姿勢を続けてしまう。
腰椎分離症やヘルニアなどの持病があれば尚更です。良い姿勢だろうが良い椅子だろうが関係ありません。
結局、「適度に体を動かす」しかない
良好な姿勢だから、高価な椅子だからといって長時間同じ姿勢が保てないのが人間です。止まっていても、姿勢保持筋(抗重力筋)という筋肉が必死に体を支えてくれています。
だからこそ、そんな筋肉たちを休めるために「適度に動かす」ことが重要なのです。動かして、血流を作り、栄養素を行き渡らせ、全身の代謝を活発にする。あくまでも「適度」です。何事もやりすぎは禁物。
「あ、ちょっと同じ姿勢をとり続けていたな」と感じたら、立って体操するとか、少し歩くとか、自分にあった軽度な運動をしてみてください。おすすめの時間や体操などを聞かれますが、100人いたら100通りの体の状態があります。
なので、「そろそろかな」というタイミングで「これいいな」というものをやりながら見つけていってください。みなさんのリモワ生活が腰痛でぶっ壊れてしまわないように、堕落した姿勢に鞭打って、適度に体を動かしてみてくださいね。
【筆者プロフィール】ちばつかさ
合同会社komichi代表。柔道整復師、こころと体のコーディネーター、元プロ野球独立リーグ選手。東京と福井で投げ銭制の接骨院を運営しのべ10万人近くの心と体に向き合ってきた。野球経験とコーチングの経験を活かし都内で"野球を教えない野球レッスン"を運営。レッスン卒業生がU12侍ジャパンの代表に選出された。現在、心理学を学ぶため、アラフォーで大学在学中。【公式サイト】