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「HSPなんです」と部下に言われたら? ちょっとした“配慮”で働きやすく

2021年02月16日 07:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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最近、「HSP」という言葉がたびたびネット上で話題になります。Highly Sensitive Personの略で直訳すると「非常に繊細な人」。光や音、匂いに極端に反応したり、他人の感情を自分のことのように感じたりする"繊細な気質"な人を指します。

芸能人がHSPを打ち明けたり、『「繊細さん」の本』(武田友紀著)がベストセラーになったりと、マスコミやSNSでも話題となりました。HSPは病気や障害ではないため、インターネットや書籍での自己診断をする人が多いようです。

この手軽さもあり、HSPを自己申告する人が増えています。もしかすると、会社の部下に「私、HSPなんです」と言われるケースが増えてくる可能性もあります。HSPの部下は、どのような向き合い方を求めているのでしょうか。HSP傾向の筆者の経験をふまえてお伝えします。(文:藤田 里加)

「敏感なので私に気を遣ってほしい」というわけではなく……

HSPの特徴のひとつに、「過剰に刺激を受けやすいために、疲れやすい」というものがあります。周囲の環境から受け取る情報量が多く、いつも周りに気を遣っているため、すぐに疲れてしまうのです。

「私、HSPなんです」というと、「敏感なので私に気を遣ってほしい」「疲れやすいから休憩を大目に見てほしい」と悪いように受け取ってしまう人もいるかもしれません。しかし、だからといって、業務内容や待遇に大きな差が付くほどの特別扱いをする必要はありません。

HSPは、人によって苦手なものが異なります。「HSPとはなにか」を理解した上で、「何が苦手で、どのように困っているのか」をヒアリングしながら、その人の傾向に合った対策をとることが重要です。

私は上司に、「とても気を遣ってしまうので、メールやチャットの返信が遅くなる」と伝えたところ、「気を遣わなくてもOK。返事はスタンプでもいい」と返してもらえました。小さなことではありますが心が軽くなり、文章の末尾まで考え込んでいた返信も早く済むようになりました。

ほかにも、蛍光灯の光や職場の雑音が苦手なタイプの人なら、サングラスやイヤホンの着用を許可する、他人にどう思われるかを気にして行動に時間がかかってしまう人なら、過剰な気づかいは不要であることを伝えるなど、働く環境を整えることが、部下のパフォーマンス向上につながります。

ポイントは「裏表のない対応」 言葉足らずがストレスに

HSP気質の人は"態度だけ"で示されるのが苦手です。その人の行動から「もしかしたらこう思っているのかな」といろんな可能性を想像してしまうからです。他人が何を考えているかわからず、脳内で補完する必要がある状況はストレスになります。

たとえば、上司や同僚が忙しくてイライラしていて、その原因や適切な対応がわからないと、自分までもが委縮してしまいます。

Zoom会議で退屈そうにしている人がいるだけでも、表情から敏感に感じ取ってしまい、「今日はあまり刺激しないようにしよう…」と連絡を控えてしまったりするのです。"言葉で伝えずに態度で示す同僚"が周囲にいると、パフォーマンスが下がる原因となっているかもしれません。

HSPの人に対しては、裏表のない対応を心がけてください。何かを伝える必要があるときは、態度や口調で伝えるのではなく、"言葉"で理由や背景までしっかりと伝えることが大切です。

ネガティブなフィードバックもNGではない 背景をしっかり伝えて

HSPの人に対して、「ハッキリものごとを伝えてもいいのだろうか」「ネガティブなフィードバックをしたら過度に落ち込んでしまうのではないか」と懸念する上司の方もいるでしょう。

HSPが苦手なのは、態度で示されることです。言葉が少なく態度が威圧的だと「自分が悪いことをしたんじゃないか」と責められているように感じてしまいます。

注意や改善が必要なときは、威圧的に強い口調で伝えるのではなく、いつも通りの態度でその理由や、「自分はこう考えている」という背景を伝えてください。HSP側は、「なるほど、次はこう改善すればいいのか」と切り替えることができます。

ネガティブフィードバックをしてはいけないわけではありません。想像で補わなければならない状態を避けるだけでもストレスは減ります。HSPは、整った環境下であれば力を発揮することができます。適切な理解をした上で、上司・部下ともに必要な対策を探してみてください。

【筆者プロフィール】藤田里加 新卒で大手メーカーに入社し、新卒採用を担当。現在はベンチャー企業で働き、副業としてWebマーケティング・ライティングを行っている。2020年12月より(株)STORY CAREERに参画。HSP気質を持ち、「働く上でのメンタルヘルスケア」を主なテーマとしている。