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合鍵で侵入する義母、自由を奪われた妻たちの嘆き「夫の浮気の証拠を隠された」「勝手に掃除や家事」

2021年02月10日 09:51  弁護士ドットコム

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「義母が合鍵を使って家に入り、勝手に掃除や家事などをしています」「義母が合鍵で我が家に勝手に入ってくるのは百歩譲って我慢する。でも、夫との電話を盗み聞きしてくるのはさすがにどうなの」。


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ネット上には、合鍵を使って勝手に家に入る義母に憤りを感じている女性たちの声がみられます。夫が義母に合鍵を渡しているというケースもあるようです。



弁護士ドットコムにも、「義母が合鍵を作り、部屋に入って掃除や洗濯などをしていた」という女性からの相談が寄せられています。相談者によると、部屋に入ってきた義母は相談者の夫が浮気しているところを目撃し、証拠隠滅をしたこともあるようです。合鍵は相談者が実家に帰省中、夫が義母に渡したものだそうです。



相談者は「帰省前に『夫の事をお願いします』とは伝えましたが、家のことを頼んだ覚えはありません。帰ってきたときにすべて片付けられた部屋を見て、他人の家に来たような、恐怖にも似た感覚が未だに忘れられません」と綴っています。



いくら義理の母とはいえ、勝手に息子夫婦が住む家に入る行為は、法的に問題ないのでしょうか。柳原桑子弁護士の解説をお届けします。



●「住居侵入罪」とはいえないが…息子夫婦のプライバシーは守るべき

ーー合鍵を使い、勝手に家に入ってくる義母の行為は「住居侵入罪」にあたる可能性はあるのでしょうか。



夫が義母に合鍵を渡している場合には、夫は義母に対して、ある程度、自由な入室を認めているといえます。



義母にしてみると、合鍵を渡されているので、玄関の鍵を開けて、穏やかな態様で入室できます。入室の目的としては、留守中の安全の確認だったり、忙しい息子夫婦を慮って留守中に家事を手伝おうという好意の面からおこなっている場合もあります。



一方で、嫁がきちんと家庭生活に必要な家事などをおこなっているかの確認や、息子夫婦の生活ぶりを知りたいといった過干渉のような場合もあります。



住居侵入罪の適用にあたっては、保護すべき利益が何であるか見解がわかれていますが、いずれにしても、これらの状況からすれば、住居侵入罪に該当する行為とまではいえないと思います。



ただ、住居はプライバシーの空間です。たとえ義母という赤の他人ではない者とはいえ、息子夫婦のプライバシーは守るべきです。



夫が義母に対し、自宅への自由な出入りを許容し、そのために合鍵を渡したということであるならば、相談者は夫に対し、義母の留守中の自由な出入りはやめてもらいたいことを話して、私生活の平穏を尊重してもらうよう対応を考えてもらい、解決策を考えるのが妥当かと思います。



(弁護士ドットコムライフ)




【取材協力弁護士】
柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属
離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」、「離婚の準備・手続・ライフプラン」監修(いずれも池田書店)。
事務所名:柳原法律事務所
事務所URL:http://www.yanagihara-law.com/