F1は2020年のテレビ視聴者数を明らかにしたが、昨年の混乱のシーズンにおける平均視聴者数はわずかな減少を見せた。
世界的な新型コロナウイルスのパンデミックが生み出した不確実な状況が背景あったものの、F1は2020年に17戦を開催することに成功した。しかしレースファンたちは会場での観戦を制限されたため、自宅でレースを楽しんでいた。
1レースあたりの平均視聴者数は、2019年と比べるとわずかに4.5%減の8740万人だった。減少については、ヨーロッパと中東地域で開催されたレースの開始時刻が、ある市場にとって必ずしも常に適切ではなかったことが大きく関連している。
2020年の累積テレビ視聴者数は、2019年の19億人に対し、15億人だった。これは2020年に開催されたレース数が少なかったために論理的な結果として減少したものだ。なお中国(前年比+43%)、ロシア(前年比+71%)、オランダ(前年比+28%)は、新型コロナウイルスの影響を受けたシーズンにおいても強力な平均成長を享受した重要な市場だった。
またF1は、2020年に最も多く視聴されたレースは第3戦ハンガリーGPであることを明らかにした。視聴者数は1億370万人で2019年から7%の増加を見せた。新たにF1カレンダーに加わった新会場も非常に多くの視聴者を生み出し、第12戦ポルトガルGPは1億50万人、バーレーンの外周コースで行われた第16戦サクヒールGPは9810万人、第14戦トルコGPは8910万人となっている。
フォーミュラ・ワン・グループは声明のなかで、F1の視聴者数の落ち込みは、世界的なパンデミックのなか観客を繫ぎ止めることに苦戦した他のスポーツリーグやシリーズと比べても、それほど悪くはなかったと強調した。
「昨年は誰もにとって前例のない年であり、F1はパンデミックが投げかけてくる挑戦に適応しなければならなかった」とF1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリはコメントした。
「我々は、多くの人々が年の前半には不可能だと考えた17戦の開催を実現した」
「2020年の視聴者数は我々のスポーツの強さと回復力を表しており、2020年の平均視聴者数は8740万人、シーズンの累積視聴者数合計は15億人だった」
一方F1はソーシャルメディアにおいて健全な成長を見せ、フォロワー数は36%上昇。フェイスブック、ツイッター、Snapchat、TikTok、インスタグラムといったプラットフォームにおけるエンゲージメントは99%上昇した。
動画視聴も49億回と47%上昇し、初開催の『F1 Esports Series』はすべてのデジタルプラットフォームにわたって、1140万人のライブストリーム視聴者を生み出した。2019年と比較すると98%の増加だ。
「デジタルにおける数字の大幅な増加も相まって、我々は中国、イギリス、オランダ、ドイツ、アメリカでは力強い成長を遂げた」
「テレビ視聴者数もわずかな減少が見られただけだ。原因には複数の理由があるが、2019年に比べて開催時期の短縮と開催地域が限定されたことによることは明らかだろう。しかしこれはどの主要スポーツも2020年に経験したことだ」
「我々は2020年の開催状況に誇りを持っている。そして我々には、今後数年間で成長していく信じられないほど力強いファン層と観客基盤があることを認識している」
「我々のスポーツ、シーズン、世界的なパンデミックへの対応方法について、ファンたちが大きな満足を感じていることを喜ばしく思っている。冬季休暇後の2021年シーズンの開幕を楽しみにしているし、我々と同様にファンたちがレースが始まることに興奮していることを知っている」