2021年02月08日 15:11 弁護士ドットコム
NPO法人監獄人権センターは2月8日、「刑事施設等における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のさらなる感染拡大防止を求める声明」を発表し、刑務所、拘置所、警察留置施設に対して、速やかに適切な措置をとるよう求めた。
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刑務所の集団感染があいついで発生している。横浜刑務所では感染者133人(2月4日時点)、千葉刑務所では感染者90人(2月5日時点)。これによって、矯正処遇や刑事処分の適切な実施が困難となる。
同センターでは、2020年4月にも、同様の声明を発表し、法務省等に感染防止の対策を求めてきたが、それ以降に、刑事施設等でコロナの感染がさらに拡大していることから、以下の3つの措置の導入を求める。
(1)感染が発生した施設の全収容者に対する速やかなPCR検査の実施
法務省矯正局が策定した「矯正施設におけるガイドライン」では、「被収容者が感染し、又は感染した疑いが生じた場合」にのみ対策を講じるとしている。だが、それでは「手遅れとなってしまう」と指摘したうえで、全収容者へのPCR検査の実施を求める。
(2)正確な情報の公表
法務省の公表情報だけでは、感染者に対する医療措置等が実施されたのか十分に知ることができない。そのため、被収容者の感染が判明した場合には、個人情報が特定されない範囲で、年齢、症状、発症日、陽性判明年月日以降の経過(医療機関への入院や施設内での待機・療養等)、基礎疾患の有無とその詳細について公表することを求める。
(3)感染者に対する適切な医療の提供と感染の拡大防止
重症者だけでなく、軽症であっても、被収容者に適切な医療の提供をおこなうことを求める。
同センター代表の海渡雄一弁護士は、千葉刑務所の受刑者から送られてきた手紙を紹介する。
1月12日には布マスクを洗って使いまわしていたが、不織布マスクが配付されるようになったこと。新聞の回覧や本の貸し出しが停止されたことなどが綴られていたという。
「情報にふれるなどの社会活動を停止させることよりも、全収容者へのPCR検査の実施や、陽性者の隔離など、先にやるべきことがある。他の収容施設で、不織布マスクが使われているのか運用の実態がわかっていない。情報も公開すべき」