ヒュンダイのティエリー・ヌービルはWRC世界ラリー選手権において過去5回“銀メダル”を手にしているが、そのメダルの色を“金”に変えたいという意思は、王者セバスチャン・オジエの現役ラストイヤーとなる今季に向け、さらに高まっている。
32歳となったヌービルは、2016年からの4年連続を含めシーズン2位を5度経験している。そんなベルギー人は先月、モンテカルロで開幕した2021年シーズンで、悲願のタイトルを掴むために必要なものはすべて持っていると認めた。
ヌービルにとって幾度となくタイトル獲得の障壁となってきたオジエは今シーズン限りでの引退を表明済みだ。それ故に彼にとっては2021年にワールドチャンピオンを手中に収めることがより重要な意味を持つことになる。
「僕はこの数年間、年間タイトルを追い求めてきた。そのためのチームとクルマがあると感じている。だからあとは僕たち次第だ」とヌービルはWRC.comに語った。
「セバスチャンがまだチャンピオンシップに残っている間にタイトルを獲得したいと思っている。最高の選手と戦うことがもっとも重要であり、オジエが引退すればベストドライバーがひとりいなくなってしまう」
「もちろん、チャンピオンシップには他にも良いドライバーが残っているが、個人的にはセバスチャンがいるときに勝つことこそ価値があると考えているんだ」
「誰もがチャンピオンシップを最高の状態に保ちたいと思っているはずで、これが僕たちが彼と一緒にラリーを戦いたい理由だ」
■「新しい場所、新しいチャレンジが待っている」
開幕戦ラリー・モンテカルロの直前、ヌービルは長年にわたってペアを組んできたニコラス・ギルソウル(コドライバー)と決別。このパートナー解消劇は本人たちが認めているように、理想的なかたちとは程遠いものだった。
直後に迎えたWRCオープニングラウンドで、ヌービルは母国の後輩であるマルティン・ウィダグを新しいパートナーに抜擢した。
彼らは事前テストなしのぶっつけ本番で、難関のモンテカルロに挑むことになったものの、総合4番手で迎えた最終日にポジションをひとつ上げ初陣で3位表彰台を獲得。ヌービルは彼が望みえる最高の結果を手にした。
そんなベルギー人ドライバーは、今後のWRCカレンダーに彼の母国で開催されるイープル・ラリー(8月13~15日)が登場することを喜んでいる。
「今年も新しいイベントがいくつかあり、エキサイティングなカレンダーになっている。新しい場所、新しいチャレンジが待っているため、それらを本当に楽しみにしている」と彼は付け加えた。