新型コロナウイルスでは発症から時間を経ても、後遺症に苦しんでいる人が多い。東京都が2月4日、都庁で開いた新型コロナウイルス感染症モニタリング会議で、東京都iCDC専門家ボードから「後遺症に関する疫学調査」の結果が示された。
調査は昨年2~6月に国立国際医療研究センターを退院した計63人を対象に実施。14日間以上の後遺症が認められた患者は48人(76%)だった。
4人に1人は「脱毛」症状も
後遺症を有する患者を年代別にみると、割合が高い順に50代(90%)、60代(88%)などと続く。一方、若年層の30代(83%)、20代(75%)でも8割前後と高く、若いからといって油断はできない。このほかの年代は、70代以上(80%)、40代(67%)、20歳未満(0%)となっている。
次に、年齢別に主な症状を見ていくと、20代の最多は「嗅覚障害」(50%)で、次いで「味覚障害」(47%)、「たん」(33%)と続いた。一方、30代以上ではいずれの年代でも、最も多い症状は「せき」で、40~50代、70代以上では「倦怠感」(各17%、40%、60%)、30代では「呼吸困難」(50%)、60代では「嗅覚感覚」(25%)が2位に続いた。
このほか、24%の患者には「脱毛」の症状もみられたという。うち6割には、調査時点で改善がみられなかった。
発症からの日数をみると、発症後50日間までに後遺症患者の割合は半分以下まで減るものの、その後は120日くらいまでほぼ横ばいで感染者が減っていなかった。一方、150日を過ぎるとやや減少するものの、その後も200日経っても症状が続いている人もみられた。
後遺症の原因については「ウイルスによる過剰な炎症、活動性のウイルスそのものによる障害、不十分な抗体による免疫応答などが原因として挙げられているが、原因は明確になっていない」としている。また、現段階では確率された治療法はないという。
窓口を務める都感染症対策部計画課の担当者は、
「専門家のお話では、煙やガスのにおいが分からないなど五感が使えないことで、医療従事者の中には気に病んでしまう方もいるそうです」
と話す。都は「治療法が確立していない中では、まず新型コロナウイルスにかからないことが最大の予防になるので、三密を避けるなど感染対策をしっかりとして頂きたい」と呼び掛けている。