津田健次郎、森田成一、岡本信彦による朗読劇「ボイスシアター-シェイクスピア-」が、去る1月30日から31日にかけてに実施されたオンラインイベント「マツリー」内にて配信された。この記事ではその模様をレポートする。
【大きな画像をもっと見る】音楽、マンガ・アニメ、お笑い、映画、舞台の情報を紹介するニュースサイト・ナタリーが、“ポップカルチャーのお祭り”をテーマに実施する「マツリー」。「ボイスシアター -シェイクスピア-」では津田がシャイロック役、森田がアントニオ役、岡本がバサーニオ役を演じ、シェイクスピアの名作喜劇「ヴェニスの商人」の朗読を「マツリー」バージョンで披露した。朗読劇の模様は複数台のカメラによって収録されており、配信では声だけでなく、それぞれの細かい表情や仕草など、普段なかなか見ることのできない3人の姿を堪能できる貴重な機会となった。
シェイクスピア作品ならではの長セリフや独特な言い回しを常にカメラで撮影されながら収録するという状況に、「緊張していた」と話す3人。しかし、朗読劇ではそれを感じさせない圧巻の演技を披露する。朗読劇は、森田演じる正義感が強く情に厚いヴェニスの貿易商・アントニオと、岡本演じる親友のバサーニオの軽快な掛け合いからスタート。和やかな雰囲気で始まった劇だが、それは津田演じるユダヤ人の強欲な高利貸し・シャイロックの登場で一変する。敵対するアントニオとシャイロック、2人の険悪な雰囲気を津田と森田の表情の演技がさらに際立出せていた。
続く場面では、貴族の娘と結婚する準備のためにバサーニオはアントニオに大金を貸してほしいと懇願。商船を航海に出したばかりで手元にお金がないアントニオだったが親友の一世一代の大勝負に、普段は敵視するシャイロックから自分がお金を借りることを提案する。心配そうな表情をカメラに向ける岡本と男気あふれる森田の演技が、少し情けないバサーニオと情に厚いアントニオ2人の友情の強さをより感じさせた。
「ヴェニスの商人」の見せ場の1つといえば、大金を借りに来たアントニオに、シャイロックが指定された日付までに返済ができなかったときの条件として「アントニオは自身の肉1ポンドを切り取って与えなければいけない」という無理難題を突きつける場面だろう。これまで侮蔑されてきた相手に対し冷酷に挑発の言葉を繰り出し、悪役然とした不敵な笑みを浮かべる津田と、金を借りる側としてそれに耐える森田の緊迫した空気が伝わり、2人の掛け合いが光る名シーンとなっていた。
そして忘れてはいけないのが、物語のラストを飾る裁判のシーン。商船が嵐に巻き込まれ返済ができなくなってしまったアントニオは、非情にも返済期限の延長の申し入れも聞き入れないシャイロックと裁判で争うことになる。アントニオの不幸を喜ぶシャイロックの悪い笑い声は、この後アントニオに起こる最悪の事態を見る人に想像させた。裁判所でもシャイロックに慈悲はなく、裁判官によって契約の正しさが認められ、シャイロックが心臓の肉が欲しいと願い出るシーンではこの劇で一番の津田の笑顔が見られた。しかし、よく知られるように物語は裁判官の一言で大きくひっくり返る。その言葉を受けた津田、森田、岡本の表情は普段3人が活躍するアニメではなかなか見られない貴重なものだった。
「ボイスシアター-シェイクスピア-」では朗読劇に加え、アフタートークも配信。朗読劇とは打って変わり、3人のハイテンションな掛け声からスタートしたトークパートでは、事前にチケット購入者から寄せられたテーマに沿って3人が軽快なトークを繰り広げる。
最初の質問は「3人が寒い日に食べたくなる食べ物は?」というプライベートなもので、まず森田がおでんを挙げる。味が染み込んだ大根も好きだという森田からは「大根は飲み物」「大根ジュース」という名言も誕生し、津田と岡本を少し困惑させていた。続く岡本が名前を出したのはしゃぶしゃぶ。岡本は学生時代からやっている方法として、ポン酢とすき焼きダレを混ぜるというこだわりの食べ方を紹介した。津田が好きなものは自販機で買える缶のおしるこ。3人は粒が缶に残ってしまうというトークで盛り上がり、森田は残った粒を必死に食べようとする津田の姿が見たいと話し、ジェスチャーまで披露していた。
朗読劇を振り返ってのトークでは、森田が「お芝居をやっている人間としてはシェイクスピアって構えるじゃないですか」とその難しさを話す。津田も「あのセリフ量に押しつぶされる」と同意すると、岡本も「特に裁判のシーンは圧倒されました」と収録を振り返った。
さらに岡本は自身の演じたバサーニオについて「一番現代人の感覚に近い人物」と印象を話し、「この作品ではヘタレな部分というか、かわいさを強調した」と演じる上で意識したポイントを伝えた。続けてバサーニオは可哀想な部分が多いと切り出すと、シャイロックにお金を借りに行く場面について、シャイロックにほとんど無視されていたと嘆き、津田と森田を笑わせていた。
悪役を演じることが多いという津田は、小狡いシャイロックを演じられたことが楽しかったと感想を述べる。森田と岡本も自身の悪役事情を話し盛り上がると、津田からは「CM前に笑う」「シーズン2になるといない」など悪役あるあるも飛び出し、2人も興味津々の様子だった。
また「ヴェニスの商人」に絡め、この3人の中でお金を貸してくれそうな人は誰かという話題も。ここでは、津田と岡本が森田、その森田が岡本の名前を上げる。岡本は、森田の名前を上げた理由として、過去にバッタリ会った森田に高級な鉄板焼屋で奢ってもらったというエピソードを披露。その際に森田が「こういうお金はいずれ糧になって(自分に)返ってくる」と金言を残し、それを聞いた岡本も「後輩に(ご飯)を奢っていこう」と心に決めたことを明かした。「ビタ一文貸さない!」と宣言していた森田だったが、これには照れくさそうに笑顔を浮かべていた。
また、ここでは「ボイスシアター-シェイクスピア-」を振り返っての3人のコメントも紹介する。津田は「ひさびさにヴェニスの商人に触れられて楽しかったです。シェイクスピア作品の中の有名キャラクターであるシャイロックを演じられて光栄です。やはり面白いですね」と、映像収録の朗読でシェイクスピア作品を演じるという珍しい機会を楽しんだ様子。森田は「配信で演じる初めての朗読、しかもシェイクスピア…! 楽しみと緊張がものすごい分量と混合率で心をざわつかせる朗読でしたが、存分に演じることができて満足です」と、収録を終えての充実感を伝えた。そして岡本は「いろんな角度から撮影ということでミスしたらやり直しという初めてのスタイルでした。不安でしたが、やりがいのある朗読を津田さん森田さんとやれてよかったです」と、映像収録での難しさと緊張はありながらも2人との朗読を楽めたことを話し、「いつか舞台上でもやれたらいいなと思います」と期待を寄せた。
■ 津田健次郎(シャイロック役)コメント
久々にヴェニスの商人に触れられて楽しかったです。
シェイクスピア作品の中の有名キャラクターであるシャイロックを演じられて光栄です。
やはり面白いですね。
今回を期にまたシェイクスピアを読もうかなと思いました。
■ 森田成一(アントニオ役)コメント
配信で演じる初めての朗読、しかもシェイクスピア…!
楽しみと緊張がものすごい分量と混合率で心をざわつかせる朗読でしたが、存分に演じることができて満足です。
また出演したいとクセになりました!
■ 岡本信彦(バサーニオ役)コメント
いろんな角度から撮影ということでミスしたらやり直しという初めてのスタイルでした。
不安でしたが、やりがいのある朗読を津田さん森田さんとやれてよかったです。お二人ともぴったりでした。
いつか舞台上でもやれたらいいなと思います。