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話題の音声SNS「Clubhouse」、犯罪の温床になる懸念…もし被害にあったら

2021年02月04日 10:12  弁護士ドットコム

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米国発の音声SNSアプリ「Clubhouse」(クラブハウス)が、日本でも人気急上昇して利用が広がる中、ネット上では懸念する声もあがっている。


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Clubhouseは招待制のSNSアプリで、ツイッターやフェイスブックとは違って、「音声のみ」でやり取りするというものだ。日本でも、芸能人やインフルエンサーが続々と登録して、爆発的に利用が広がっている



しかし、ルームと呼ばれる「閉じられた場」では、特定の相手とだけ話すことができるため、ネット上では「詐欺など、犯罪の温床になるのでは?」という指摘が少なくない。



一方で、Clubhouseは規約で、次のような限られた条件以外での記録を禁止している( https://www.cloudsign.jp/media/20210128-clubhouse-tos/ )。




・関係するスピーカー全員の明示的かつ書面による同意なく会話を記録すること



・「オフレコ」として扱うよう明示的に表明されたにもかかわらず情報を(Clubhouse内または他の場所で)共有すること




つまり、少なくとも規約上は、利用者が、自分や相手の発言を記録するにとても高いハードルが課せられているのだ。



ここで心配になるのが、Clubhouseがきっかけで犯罪に巻き込まれる場合だ。たとえば、ルームの会話を録音しておいて、あとから詐欺などの犯罪に巻き込まれたとわかったとき、その録音(あるいはその書き起こし)を証拠としてもらうことはできるのだろうか。



刑事事件にくわしい南川学弁護士に聞いた。



●「無許可の録音」も刑事事件の証拠になりえる

——もしも、Clubhouseで犯罪に巻き込まれてしまった場合、規約上禁止されている「無許可の録音」や、その「書き起こし」であっても、証拠になり得るのだろうか?



規約上禁止されている「無許可の録音」やその「書き起こし」は、規約上禁止されていても、被害にあった一般人が「無許可の録音」やその「書き起こし」を提出する場合、刑事裁判で犯罪を立証するための証拠として採用されると十分考えられます。



なぜならば、刑事事件で違法な証拠が採用できないとされているのは、主に捜査機関による違法な捜査を防止する目的とされているので、国家機関が違法な行為によって証拠を入手した場合を対象としており、一般人の行為を対象と考えていないからです。



●「誰の発言か」特定が必要になる可能性も

——「規約違反」は違法にならない?



一般人が、たとえば不正アクセスといった犯罪に該当するような行為で証拠を入手した場合ならともかく、登録すれば誰でも聞くことができる状況の音声の記録といった規約違反という民事上の違法だけであれば、そこまで違法の程度が高くないことからも、刑事事件で証拠として認められない可能性はほとんどないといえます。



したがって、もし犯罪に巻き込まれた場合、規約上禁止されている無断の録音やその書き起こしは、刑事裁判で証拠となりますので、警察が証拠として受け取ってくれると考えます。



ただし、捜査機関に事件化を求めるに際しては、書き起こしだとその正確性が問題となりますし、音声だけの録音であれば、なりすましの可能性があるので、それが誰の発言なのかという、加害者の特定の問題が生じると思います。



加害者が否定した場合には、IPアドレスなどの特定や声紋鑑定などが必要になるかもしれません。




【取材協力弁護士】
南川 学(なんかわ・まなぶ)弁護士
刑事から民事・家事、高齢者障がい者支援など幅広く取り扱うが、特に刑事弁護を重点的に取り組む。数多くの刑事事件の弁護人を務める一方、刑事弁護の実務や刑事訴訟法分野に関する論文を多数執筆し、弁護士向け刑事弁護研修の講師を務める。日本弁護士連合会刑事法制委員会委員、千葉県弁護士会刑事弁護センター委員など。千葉県弁護士会所属。
事務所名:PAC法律事務所
事務所URL:http://paclaw.net/index.html