2月1日から、岡山国際サーキットで8台のGT300車両が参加し開催された『GT3特別スポーツ走行』。このなかで、TEAM UPGARAGEに加入し2021年からスーパーGTに初めて参戦する名取鉄平がUPGARAGE NSX GT3を初めてドライブした。
山梨県出身の名取は、レーシングカートを経て2017年に鈴鹿サーキット・レーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を主席で卒業。2018年にFIA-F4で角田裕毅に次ぐランキング2位を獲得し、2019年は渡欧しFIA-F3に参戦した。
2020年は日本に戻り、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦。また、スーパーフォーミュラにも第1戦もてぎでスポット参戦した。光るレースを何度もみせてくれたが、最終ラウンドの富士の後、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトから離れることが決まったと告げられたという。
名取は今後について思案することになるが、その決定のまさに翌日、見慣れぬ先から名取の携帯に連絡があったという。その相手は、アップガレージの河野映彦社長だった。「これまで面識がなかったのですが、起用したいという連絡をいただきました。初めてお会いしたのがそれからすぐの話で、年末くらいには起用していただくことで決まりました」と名取。
レーシングドライバーとしての今後に悩むところが、わずかひと晩で急転したのだから興味深いが、これまでフォーミュラでステップアップを志し、その速さをみせてきた名取にとっては初めてのGTカーのレースだ。
「僕は小さな頃からフォーミュラでステップアップを目指していましたし、FIA-F4に参戦していたときは同じサーキットでスーパーGTを開催していても、実は観てもいなかったのが正直なところです(笑)。(スーパーGT参戦は)第二のキャリアなのかな、と思っていたくらいです」
それほどまでにフォーミュラ志向だった名取だけに、当然ながらこの岡山でのドライブが初めての“ハコ”のレーシングカー。「GTカーについては難しくないとは思うのですが、まだ良く分からないというのが正直なところです」という。
「タイヤが特徴的です。ヨコハマはスーパーフォーミュラ・ライツでも使っていましたが、それとは全然違うフィーリングで、荷重の動きも大きく、その点でまだうまく使えていないような気がします」
とはいえ、2日間のテストでは“先輩”とも言える小林崇志がていねいに名取にアドバイスを送っている様子が印象的だった。「小林さんはすごく優しいです。ドライバー交代の練習におつきあいいただいたり、アドバイスもいただいています」と名取が言うとおり、2月1日にコンディションが複雑な状況では、ピットで熱心にドライバー交代の練習を行っていた。
「知らないことだらけで、まだ探りながらの状況です。でももちろん、結果も求められていると思いますし、ここで結果を出せれば、ドライバーとしての評価も上げられると思っています。チームも素晴らしい雰囲気ですし、もっと先を目指して、小林選手と協力しながら頑張っていきたいと思っています」と名取は初めてのスーパーGTに向けて意気込みを語った。