IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースで、チームとしての3連覇を成し遂げたウェイン・テイラー・レーシング(WTR)のチームオーナー、ウェイン・テイラーは、今回の優勝は「ロケット・サイエンス(高度に難しいこと)」ではなく、彼のチームのハードワークと準備こそが勝因であった、と述べている。
WTRはリッキー・テイラー、フィリペ・アルバカーキ、アレクサンダー・ロッシ、エリオ・カストロネベスが、コニカミノルタがスポンサードする10号車アキュラARX-05をドライブ。1月30~31日にフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行なわれた伝統の24時間レースを制した。
これはアキュラブランドにとって初の総合優勝となり、WTRにとっては過去5年で4回目の優勝ともなった。2位にはキャデラック、3位にはマツダが入り、3つのDPiマニュファクチャラーすべてが表彰台に立つという激しい戦いとなった。
キャデラックからアキュラへとマシンをスイッチして初めてのレースにもかかわらず、ウェイン・テイラーは「黄金の秘密」はない、と述べている。
以前の大会でも見られたように、WTRの10号車はピットで過ごした時間がDPiクラスでもっとも短かった。
「人生のあらゆることについて常に私はこう言っているが、“ロケット・サイエンス(高度に難しいこと)”は何もない」とウェイン・テイラー。
「人はそれを、とても難しいことのように言うのが好きだよね。私がティム・シンドリックやロジャー・ペンスキーから学んだことは、とてもシンプルだ。彼らはインディ500向けのマシンの準備に、4カ月を費やしていたんだ」
「その教訓を思い出し、私はチームのメンバーに言ったんだ。『OK、24時間レースに勝つためには、クルマを“防弾”しなくてはならない』とね」
「タイヤ交換と燃料補給、そしてドライバー交代のためだけにピットインする必要がある。それ以外のためにピットに入るとき、今日の世界でそれはレースに負けることを意味する」
「その仕事をしっかりとしてくれた私の周囲のメンバーを、これほど誇りに思うことはないよ」
「我々のチームは、運命共同体としてここに集まった。皆、お互いを信じている。全員がファンタスティンクだ」
キャデラックからアキュラへの切り替えにおいてチームは、マシンのテストよりも事前の準備に重きをおいた、とテイラーは語っていた。そのため、彼らがセブリングでアキュラARX-05の初テストを行なったとき、すでにレースまで2週間を切っていた。
「マシンを手に入れるのがとても遅くなったなか、このデイトナに来てすべてをまとめあげるのは、実に記念碑的なプログラムだったよ」とテイラーは説明する。
「クルマを準備する時間は少なかったが、彼らが協力してくれたことに感謝している。アキュラやHPDのメンバーには感謝してもしきれない」
「正直なところ退屈していたので、これで寿命が伸びたように感じているよ」
「5年間でデイトナ24時間を4回も制するなんて、最高の出来事だ。チーム全員を誇りに思っている」
■「父は24時間、眠ろうとしなかった」とリッキー・テイラー
ジョーダン・テイラーがコルベット・レーシングでGTLMクラスの優勝を獲得したことで、今年のデイトナ24時間はテイラーファミリーにとって記念すべきレースとなった。
ウェインの息子、ジョーダンの兄であるリッキー・テイラーは、「自分の家族を誇りに思うよ」と述べている。
「僕は父から充分な信頼を得られていないと思う」とリッキー。
「父はこのチームを構築するという素晴らしい仕事をした。彼は非常に一生懸命働き、とてもストレスを感じている。彼はこの仕事にすべてを注ぎ込んでいたし、それはピットスタンドでも見られたと思う」
「彼は24時間ずっと起きていて、常に無線も繋がっていた。みんな父を眠らせようとしたけど、彼は眠らなかったんだ」
「父はこの勝利を得るにふさわしい。僕にとっては特別な父であり、特別なチームオーナーであり、彼がすべてをこのために懸けてきたことを、ここにいる誰もが証明できるよ」