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病室からオンライン授業を行う卵巣がんの女性 化学療法中に子ども達と向き合う(米)

2021年02月01日 22:02  Techinsight Japan

Techinsight Japan

化学療法を受ける病室からオンライン授業を行う幼稚園の先生(画像は『My Modern Met 2021年1月29日付「Passionate Teacher Virtually Educates Her Students During Chemo Appointments」』のスクリーンショット)
がんの化学療法を受ける病室でノートパソコンと向き合い、園児とのオンライン授業を行う1人の先生の姿があった。この女性は卵巣がんを患いながらも教育への情熱は冷めず、「5歳児クラスで教えるのって、ディズニーランドに行くみたいにワクワクするの」と目を輝かせて話す。5時間かかる治療を受けながら授業を進める女性は、時には自身の病気を教材にすることもあり、「がんは死の宣告ではないと子ども達に伝えたい」と思いを明かした。『CBS News』などが伝えている。

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米ミネソタ州にある幼稚園「Falcon Heights Elementary」で32年間、先生として働くケリー・クラインさん(Kelly Klein)は、5年前に初めて卵巣がんと診断された。その後は手術や化学療法を受けたが、仕事のできる状態ではなくなってしまった当時は、半年ほど職場を離れたという。当時のことをケリーさんは「この時は子ども達のクラスが本当に恋しかったです」と語る。

そして最近になって卵巣がんが再発し、ステージ3と診断されてしまった。今回の病状では完治は難しく、化学療法によりがんの進行を遅らせることになったという。ケリーさんは月に1回、4~5時間にも及ぶ治療を余儀なくされた。

なんとしても授業を続けたかったケリーさんは、同幼稚園の園長ベス・ベンケさん(Beth Behnke)に掛け合った。ベスさんは「ケリーさんと同じの立場になった場合、多くの人は病気休暇を取ります。しかし本人がやりたいと言うのですから、一緒に良い方法を探していこうと提案しました」と明かしている。

オンラインで授業を続けることになったケリーさんは、その心境を次のように述べた。

「私はいつも言っていますが、5歳児クラスで教えるのってディズニーランドに行くみたいにワクワクするんですよ。子ども達が楽しんでいるのが伝わって、私もワクワクしてくるんです。化学療法を受ける病室では、周りにも治療に苦しんでいる人がたくさんいて、ひどく気分が落ち込みます。治療の間に子ども達と共に過ごすことは、非日常的な場所で日常を感じることができるのです。子ども達に教えていると時間はあっという間に過ぎます。『なぜ私がこんなことに…』と考えて落ち込んでしまいますが、子ども達といると笑顔になれるし、心を強く持つことをサポートしてくれるんです。」

今回の決断にあたり、保護者達へ「オンライン授業中に、病院の看護師が画面に映る可能性があります」と事前に連絡したそうだが、これに心配の声をあげる親は1人もいなかった。


息子のクリフ君(Cliff)が同幼稚園に通っているというダン・ファーガスさん(Dan Fergus)は「私も妻と一緒に息子の授業の様子をのぞいていますよ。親子で話し合ういい機会になっています。息子はケリーさんの治療を行う医師や看護師の存在を理解しています」と話している。

ケリーさんは自身の髪の毛や眉毛が薄くなっていくことも教材にして、子ども達に話しているそうだ。


「がんを診断されることが死の宣告ではないと子ども達に理解してもらいたいんです。がんになっても面白いことをして笑ったり、元気を分け与えることもできると知ってもらいたいですから。」

そのように話すケリーさんは、今も笑顔で授業を行っている。

画像は『My Modern Met 2021年1月29日付「Passionate Teacher Virtually Educates Her Students During Chemo Appointments」』『KARE 11 2021年1月5日付「Kindergarteners join teacher for online classes from hospital while she gets chemo」(Credit: Zoom image)(Credit: Kelly Klein)(Credit: Brecken Carr)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)