この一年は、就職活動においても波乱に満ちた年だった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、多くの企業で業績が停滞。人の動きが止まったことにより、特に旅行、航空業界に激震が走り、採用活動を打ち切った企業もあった。
学情は2月1日、2013~22年卒の「就職人気企業ランキング」の比較結果を発表した。22年卒対象の調査は昨年6~12月に実施し、3月に卒業予定の大学3年生、大学院1年生の計7675人から回答を得た。22年卒の就職人気企業ランキング1位は「伊藤忠商事」だった。
新型コロナの影響甚大 「JTB」「HIS」「オリエンタルランド」が後退
2、3位は「味の素」「アサヒ飲料」と食品メーカーが続く。4位以降は「講談社」「資生堂」「任天堂」「大日本印刷」「ロッテ」「JTBグループ」「イオングループ」がトップ10入りしている。
前年のランキングと比べると、21年卒で2位だった「JTBグループ」は9位に後退。同じく5位の「エイチ・アイ・エス」、10位の「オリエンタルランド」については、22年卒ではトップ10外となった。
一方、21年卒で9位だった「任天堂」は6位に上昇。ステイホーム需要でニンテンドースイッチなどの売上が伸びており、昨年は人気シリーズのソフト発売などと相まって、業績を飛躍的に伸ばしていた。
過去10年間でトップ10に入り続けた企業は「伊藤忠商事」「JTBグループ」の2社のみ。今年のランキングでは、旅行、航空業界が軒並み順位を下げる結果になったが、JTBグループのトップ10入りについては「採用再開」を願う学生の思いが後押ししたと推察できる。
ANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)は、17~18年卒にかけて1、2位を独占するほどの圧倒的な人気ぶりだったが、新型コロナの影響で21年卒以降は両社ともにトップ10から陥落。再浮上は、感染状況が全世界的に落ち着くまでは難しそうだ。