2021年02月01日 10:22 弁護士ドットコム
「相手に想いがなければ、ストーカー認定されそうでこわい」「気になる人とほぼ毎日LINEしているけど、ストーカーと思われているかも」。
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ネット上には、気になる異性にメールを送ることで「ストーカー」呼ばわりされるのではないか、という不安の声も上がっています。
弁護士ドットコムにも、「片思いしていた女性にメールしていたら、ストーカーといわれました」という男性からの相談が寄せられています。
相談者は、同じ職場内の女性に片思いしており、数日おきに1件ほどメールを送っていました。すると、女性は上司に「ストーカーされている」と相談し、厳重注意されたとのことです。今はメールを送ってはいませんが、相談者は落ち込んでいる様子です。
淡い恋心からのアプローチがストーカーになってしまう境界線はどこなのでしょうか。中西祐一弁護士の解説をお届けします。
ーー具体的に、どのような行為が「ストーカー行為」と判断されるのでしょうか。
「ストーカー規制法」では、特定の相手を待ち伏せたり、見張ったりすることを「つきまとい行為」として規制しています。つきまとい行為を、「相手に不安を覚えさせるような方法」で「反復して」おこなうと、「ストーカー行為」と判断されます。
つきまとい行為にあたるのは、次のようなことです。
・勤務先や住んでいる家に押しかけたり、付近で見張ること
・相手の行動を監視していると告げること(「今日は●●さんと一緒に新宿で食事をしてましたね」とメールや口頭で連絡するなど)
・相手が拒否しているのに、「交際してください」「会いたい」と要求すること
・著しく乱暴な言葉を浴びせること(相手に向かって大声で「バカヤロー」と叫んだり、家の前でクラクションをならし続けるなど)
・無言電話をかけること。相手が拒否しているにもかかわらず、連続して電話をかけたりメールを送り続けること
・汚物や動物の死体、わいせつな写真などを職場や自宅に送りつけること
つきまとい行為の被害者が警察に通報した場合、つきまとい行為をした本人に「警告」が出される可能性があります。それでもやめない場合は、より厳しい「禁止命令」が下されることもあります。
また、ストーカー行為と判断された場合は、刑事罰の対象となり、6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。
ーーメールを送り続けることは、場合によっては「ストーカー行為」と判断されてしまう可能性もあるのですね。
意中の相手とメールなどでコミュニケーションをとりたいと思うのは、自然な感情でしょう。しかしメール送信も、あまりに行き過ぎれば「ストーカー」となってしまうかもしれません。
2013年8月の改正法では、「相手が拒否しているにもかかわらず、連続してメールを送りつけること」も、つきまとい行為の一つとして、規制の対象となりました。
ちなみに2015年5月には、元交際相手の女性につきまとい、拒否されたにもかかわらず、3日間で36回にわたって「電話をください」などとメールを送ったとして、男性がストーカー規制法違反容疑で逮捕されたと報じられました。
相手を想う気持ちが強いと、自分の気持ちだけが先走ってしまうこともあるでしょう。アタックをしすぎて相手にストーカーだと疑われないよう、気をつけたいものですね。
(弁護士ドットコムライフ)
【取材協力弁護士】
中西 祐一(なかにし・ゆういち)弁護士
金沢弁護士会所属。地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。
事務所名:中西祐一法律事務所
事務所URL:http://www.nakanishi-law.net