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SixTONES「僕が僕じゃないみたいだ」、世界観に合わせた“演出の引き算” MVから感じた表現手法のバリエーション

2021年01月30日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド編集部

 顔を上げ、目を閉じたままのジェシー。吸い込んだブレスの音を経て松村北斗の歌声が響く。前髪の奥からは少し細めた視線。揺らめく光に照らされた繊細な表情ーー。


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 SixTONESの4枚目のシングル『僕が僕じゃないみたいだ』が2月17日にリリースされる。ジャケット写真には黄色いユリの花、花言葉は「偽り」。


 表題曲は、メンバーの松村と俳優の森七菜がW主演を務める映画『ライアー×ライアー』(2月19日公開)の主題歌に起用されている。1月22日には公式チャンネルでMVが公開されると、すぐさまSNSで話題を集め、動画再生数は245万回を記録している(1月29日現在)。1月29日放送『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でのテレビ初披露を皮切りに、2月6日には『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)での歌唱も予定されている。どんな演出で聞かせてくれるのか、SNSには心待ちにする投稿が多数寄せられ、中には「神回確定」という言葉もあった。


 ファンに向けては、1月5日から行われたライブ配信『on eST』の中で一足先にお披露目された。楽曲は、映画作品のキーとなるライアー、嘘を踏まえた歌詞で、好きな人を前に自分を偽ってしまう様子を、さわやかで疾走感のあるメロディに乗せている。ジャケット写真にある黄色いユリの花だが、花言葉は偽りに加えて、陽気、甘美との解釈もあった。


 相手への気持ちを偽ってはみるものの、どこか素直で、狂おしくも前向きで。松村、ジェシーから続く、森本慎太郎のパートは、甘くもちょっぴり切ない歌声でやり場のない気持ちを表現。Bメロから、京本大我と田中樹のハモりが心情描写に厚みを増しサビへつなげる。


 相手を前にして初めて見えてきた自分と、新たに芽生えた感情。自分を映した鏡を見て何を思ったか。逸る気持ちにブレーキがかからない様子、〈笑えるな〉はジェシーのわずかな声の揺れがこぼれた心の声のよう。サビ終わりは髙地優吾と京本大我のハモりで締めた。そして、〈それが本当の僕だ きっと〉、松村の透明感あるファルセット。続くジェシー、京本と伸びやかでクリアな高音が連なる。脆そうに見えても力強く、清々しくどこか甘美な雰囲気。自分を見失うほどに気持ちが加速する恋心ーー彼らをこんな気持ちにさせる相手に嫉妬心を抱いてしまうほど。蕾が開花する直前の、内に秘めたエネルギーのようで、花言葉の“陽気”から、始まりという解釈が合わなくもない。


 MVでは、昨年からのSixTONESの音楽、MVのイメージからはこれまた想像がつかない世界。黒をバックにしたときの、松村やジェシー、京本の白シャツとのコントラスト、後ろには色鮮やかなグラフィックが視界に広がる。ほどよいシンプルさとアーティスティックな世界観が楽曲とマッチしている。


 今回はダンスを封印、フォーメーションも変えずに歌唱メインのパフォーマンス。楽曲の世界観に合わせた演出の引き算に、彼らの表現手法のバリエーションを感じた。


 YouTubeでは『松村北斗W主演「ライアー×ライアー」メンバーだけで鑑賞会』と題して、松村を除いた5人で作品を鑑賞。「うおぉぉぉぉい」と、まるで応援上映かのように声を上げた森本を筆頭に、松村のセリフに手を叩いたり声をあげたりとオリジナルの視聴スタイルだったが、そんな中でもジェシーは「ちょこちょこポロポロ涙が出そうになった」という。森本提案の「トウブ×トウブ」、田中の「リアル×リアル」など、YouTubeでのスピンオフ企画を薄っすら期待しつつ、まずは本編の映画を楽しみたい。


 SixTONESが感情を込めて聴かせる「僕が僕じゃないみたいだ」。力強くも透明感ある歌声、細かく変化する繊細な表情に注目しながら堪能したい。(柚月裕実)