2回目の緊急事態宣言の発出され、政府は「出勤者7割削減」を目標に掲げている。しかし日本生産性本部の調査によれば、調査対象者1100人のうちテレワークを実施している人は22%。政府目標には程遠い現実が浮かび上がっている。
都内に住む事務職の40代女性は「設備投資をすればテレワークにも対応できそうな業務ではある」と語るが、いまだ出勤を続けている。その理由は「社内で不公平感があるから」。テレワークができない人たちとの間で不公平感が生まれないよう、テレワークができる人たちにも出社を求める会社は少なくない。(文:林加奈)
「職場内での感染防止策は徹底されていても、通勤途中の感染リスクがある」
別の30代女性も都内で事務をしているが「職場内でテレワーク可能な部署とそうでない部署があり、不公平を避けるためテレワークを実施していません」といい、
「上層部は『職場内での感染防止策はできている』と言いますが、通勤途中での感染リスクを考慮していないようです。政府からの出勤者削減要請は蔑ろにされています」
と不満をこぼす。医療業やサービス業のように、そもそもテレワークができない仕事なら仕方がないだろう。しかし社内での不公平感を理由に、テレワークができる人たちにまで出勤を求める会社側の対応には「納得できない」というのが女性の本音だ。
「業務委託契約の私はコロナに感染しても労災保険がないのに、安い報酬で毎日通勤」
業務内容によって可能ならば、テレワークにするのが望ましい対応かもしれない。しかし業務上出社せざるを得ない人は、対応の違いに不公平を感じている。フリーランスの40代女性は、
「テレワークできない部署もありますが、できている部署もあり不公平な気がします。業務委託契約の私はコロナに感染しても労災保険がないのに、安い報酬で毎日通勤。テレワークしたくても上司が断固として拒否します」
と明かす。女性はその上司と2人だけの部署で仕事をしているが、「普段から私の隣に座り、手取り足取り教えるかのような距離感。上司のマスクも鼻が出ている状態」と不安を隠せない。「毎日感染を恐れながら、生活のためと思い、恐怖と戦って通勤しています」と、悲痛な思いを打ち明ける。
テレワークをしたい社員と、社内の不公平感をなくしたい会社。このコロナ禍で、どう対応するべきか多くの企業が頭を抱えているのではないだろうか。
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