2021年01月25日 19:01 弁護士ドットコム
15歳から19歳にかけて、札幌市立中学の男性教師にわいせつな行為をされたと裁判で訴えていたフォトグラファーの石田郁子さんが、東京高裁で「わいせつ」の事実が認定されたにもかかわらず、不適切な対応をされたとして、札幌市教委に抗議文を提出した。石田さんが1月25日、オンライン会見を開いて明らかにした。抗議文は1月24日付。
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これに先立って、札幌市の秋元克広市長が1月22日、定例会見で、東京高裁の判決について「重く受け止める」として、男性教師に対する事情聴取などの調査がはじまったとする一方で、(調査にかかる期間は)「高裁の事実認定を覆すような事柄が出てくるのか出てこないのか、そういった状況によって変わってくる」と発言した。
この発言に対しても、石田さんは「これまで、教育委員会に対して何度も調査を求めてきたが、適切におこなわれず事実を認定できなかったために、裁判まで起こさざるをえなかった。反省すべきは、調査をする能力がなかった札幌市」と批判。「重く受け止めるべきは、被害者の声だ」として、市長にも25日に抗議文を送った。
石田さんはこれまで2回にわたり、市教委に対して、男性教師のわいせつ行為について、第三者による調査をおこなうよう求めている。男性教師からの手紙や会話の録音データなどを提出したが、市教委は「男性教師が否認している」という理由で処分をおこなわなかった。
そのため、石田さんは2019年、札幌市と男性教師を相手取り提訴。東京高裁は昨年12月、教師による「わいせつ行為」があったと事実認定した。
この高裁判決を受けて、石田さんは市教委に男性教師の処分をあらためて求めたが、「調査をしています」「調査を継続しています」など繰り返し回答はあるものの、いつどのようなかたちで調査がおこなわれているのかなど、具体的な内容が明らかにされていないという。
市教委に対する抗議文で、石田さんは、こうした態度や男性教師に対する調査の不適切対応を批判している。
また、秋元市長の発言について、石田さんは会見で「過去に何度言っても市教委は適切な調査をせず、男性教師を教育現場に置き続けました。そもそも、市教委は調査も事実認定もできなかったのに、なぜ高裁の判決を覆すようなことがあるように、市長に言われなければならないのかわかりません」と涙ながらに訴えた。
秋元市長に対する抗議文では、市教委の対応とともに、秋元市長の発言も被害者を軽視していると批判。あらためて、教師による体罰や暴言、性暴力の防止策、被害が訴えられた際には第三者委員会による調査を制度化するよう求めた。