2021年01月25日 17:21 弁護士ドットコム
人気ユーチューバーのワタナベマホト(28)さんとの結婚・妊娠を1月21日に発表した元欅坂46の今泉佑唯さん(22)。
【関連記事:夫は死んだのに、義母との同居が続いて…「監視生活」に限界を迎えた女性の決断】
祝福の声が広がる中、同じ日にユーチューバーのコレコレさんが自身の動画チャンネル「コレコレチャンネル」で、ワタナベさんが未成年の女性にわいせつ写真を送るよう要求していたことを暴露。結婚発表からわずか1日後の22日、ワタナベさんはマネジメント会社「UUUM」から契約解除された。
この日、コレコレさんは動画チャンネルを更新し、女性とワタナベさんとのメールを公開。ワタナベさんが「本当にごめんなさい」「(今泉さんとの)離婚も考えています」などの文言を女性に送っていたことが分かった。
「デイリースポーツ」(1月22日)などの報道によると、今泉さんとワタナベさんは結婚発表はしたものの、入籍はしていないとみられる。その場合は「離婚」ではなく婚約破棄となり、今泉さんは「未婚の母」となる可能性がある。
もし未婚のまま子どもが生まれた場合、生物学上の父親はワタナベさんだが、戸籍の「父親」欄はどのように記載されるのか。また、法律上はどうなるのか。作花知志弁護士に聞いた。
ーー未婚のまま子どもが生まれた場合、戸籍はどうなるのでしょうか。
このような場合、母親が出生届を出すことで、母親を筆頭者とする新しい戸籍がつくられます。子どもは母親の戸籍に入りますが、父親の欄は空欄のままです。この状態では、子どもと父親との法律上の親子関係は存在していません。
ーー父親と子どもが法的に親子になるためには、どうすればよいですか。
父親が子どもを「認知」しない限り、父子は法律上の親子になれません。
まずは、父親が、子どもが自分の子どもであることを認める「認知届」を提出する必要があります。認知は、子どもが胎児の間でもおこなえます(ただし、認知について母親の承諾を得ることが必要)。さらに、母親などが法定代理人になって、子どもから父親に対して認知の訴えを起こすこともできます。
ーーもし、認知しない場合はどのような影響がありますか。
認知しなければ、父親と子どもとは法的な親子関係にありませんので、父親が養育費を支払う義務はないということになります。養育費を求めるのであれば、父親の認知を求めることになります。
ほかにも、相続の問題があります。相続人になるためには、父親・母親と子どもとの間に、法律上の親子関係が存在していることが必要です。
まず母親は、最高裁の判例により、子どもを認知したかどうかは関係なく、分娩によって法律上の親子関係が生まれるとされています(最高裁昭和37年4月27日判決)。したがって、母親が亡くなった場合、子どもは当然に母親の相続人になることができます。
それに対して父親の場合は、父親と子どもとの間に法律上の親子関係が生じるためには、先述のように「認知」の手続をしなければなりません。
父親が子どもを認知していなければ、父親の死後、子どもは相続人にはなれません。死後認知という方法はありますが、父親が死亡した後3年が経過すると認知の訴えを起こすことができなくなりますので、注意が必要です。
【取材協力弁護士】
作花 知志(さっか・ともし)弁護士
岡山弁護士会、日弁連国際人権問題委員会、国際人権法学会、日本航空宇宙学会などに所属。
事務所名:作花法律事務所
事務所URL:http://sakka-law-office.jp/