スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)のオーナー、ジム・グリッケンハウスによると、カレンダー変更によって2021年のWEC世界耐久選手権の開幕戦が3月から4月へと移動したことに伴い、同チームが開幕戦のポルティマオで新たなル・マン・ハイパーカー(LMH)をデビューさせることが可能になったという。
2021年のWEC最高峰クラスであるハイパーカークラスに、LMH規定の『グリッケンハウス007 LMH』で参戦するグリッケンハウスは、当初開幕戦として予定されていた3月のセブリング1000マイルレースをスキップし、5月1日決勝の第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースでの新型車デビューを予定していた。
しかし1月22日にWECがセブリングの中止と、代替となる第1戦ポルティマオ8時間レースの開催を発表。このポルティマオが4月2~4日の開催となること、そしてグリッケンハウスのマシンがイタリアのポディウム・アドバンスド・テクノロジーズで開発されていることが、開幕戦ポルティマオでの007 LMHのデビューを後押しすることになったという。
グリッケンハウスは、3月中旬までに、ハイブリッド非搭載となる007 LMHのホモロゲーションを取得することを目指している。
「ポルティマオでは、2台のマシンでレースができると強く信じている」とグリッケンハウスは語っている。
「そのことを間もなく確約できると思う。それが我々の意図するところだ」
007 LMHのデビューが開幕戦に間に合う可能性は浮上したものの、SCGはマシンのシェイクダウンを2週間遅らせることを余儀なくされている。ブレグジットに関連し部品の供給に問題があるためだと、グリッケンハウスは説明している。
これによって開幕前のテストにあてる時間を損なうことになりそうだが、グリッケンハウスは開発プロセスは妨げられないと楽観視している。
SCGは3月中旬、バレルンガでのテストセッション中に新型マシンの正式発表を目指している。当初は1月後半がシェイクダウンの目標として想定されていたが、いつ最初のテストを行なうかと聞かれると、グリッケンハウスはこう答えた。
「我々はシェイクダウンを2月15日に遅らせた。以前なら一晩のうちに入手できていたコネクターやホースなどの細かいパーツが、ブレグジットのおかげで現在は6週間も時間がかかるんだ」
「そして、それにどれくらいのコストがかかるのかも分からない。なぜなら、それを手に入れたときになってイギリスの税関が『税金を払え』と言ってくるからだ。ブレグジットの影響で、我々は2週間遅れているんだ」
「シェイクダウンは2月15日だ。それが5日ほど遅れる可能性はあるかって? 確かに。だが、そうならないことを望んでいる。3月にもテストが予定されている。2台のクルマを走らせ、すべてのドライバーを乗せる。そしてポルティマオに向かうんだ」
現在、グスタボ・メネゼスとライアン・ブリスコーのふたりのみが明らかにされているドライバーについては、1月末までに残りのラインアップを発表する予定だという。
これらの契約済みドライバーには、ニュルブルクリンク・ノルフドシュライフェにおいてグリッケンハウスGTをドライブした経験を持つドライバーと、007 LMHプログラムのオペレーションをサポートするヨースト・レーシングに関係の深いドライバーが含まれていることを、Sportcar365は理解している。