2021年01月20日 18:51 弁護士ドットコム
「実はコロナ陽性で黙ってたけど試験場のトイレ流すボタンに休み時間の度に唾吐きかけてたからお前ら二次試験受けれないよw」。
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大学入学共通テストの受験生が1月17日夜、新型コロナウイルスへの感染を装ったツイートが話題となった。
ツイートは現在削除されているが、受験生は自身の受験会場を奈良学園大と明かしていたことから、大学には問い合わせの電話が寄せられた。
奈良学園大の入試広報課は「非常に残念です。コロナ禍で苦しい思いをされている方々もいる中で嘘をつくことは腹立たしいですし、頑張ってきた全国の受験生にも非常に失礼な話」と話した。
大学によると、虚偽ツイートをした受験生から18日午前、電話で謝罪があった。悪ふざけでしたツイートであり、実際は感染しておらず、唾を吐く行為もしていないと説明されたという。
大学は警察に相談したが、被害届を出すことは「現時点で考えていない」と話した。
虚偽ツイートをした受験生は1月18日、「あのツイート10分で消したんですよ...さすがにやばいなあって、、、ネット怖い( ; ; )」「内輪ネタがこんなに拡散してしまっては」とツイートしている。
はたして、ツイートを削除しても法的責任は問われるのだろうか。小沢一仁弁護士に聞いた。
——今回のツイートはどのような法的問題がありますか
入試実施後とはいえ、仮にコロナ陽性者が受験していたとなれば、事実関係の調査等の対応を余儀なくされると思われるため、業務妨害罪にあたる可能性があると思います。
——虚偽のツイートはすぐに消しても、意味がないのでしょうか
ツイートが拡散される前であれば、消してしまえば実質的な影響はなかったでしょうが、当然、広まった後になって削除しても意味がありません。
SNSの情報発信力は非常に強力ですので、情報を発信してから短時間で広まってしまうと考えて投稿すべきだと思います。
——軽はずみのツイートでも、刑事事件に発展する可能性があるということですね
非常に不適切であり、してはならない行為だと思います。発信者本人は謝罪のうえ発信した内容が虚偽であったことを公表しているようですが、それにより試験会場関係者や受験生などが既に受けた迷惑が消えるわけではありません。
また、インターネット上では、ネガティブな情報は炎上という形で一瞬で広まりますが、その情報が虚偽であったとする情報は同じようには広まらないことが多いですし、最初の情報に触れた人が、投稿者自身が虚偽であったと認めたとする情報に触れるとも限りません。
そもそも、コロナ陽性が虚偽であったとする投稿者の発言も、真実であるのか一般閲覧者には判断できません。事後的に訂正したとしても、不安に感じ続ける人もいると思います。
虚偽の情報を発信することは、社会的な混乱を招き、公益を害するだけです。絶対にしないようにしていただきたいと思います。
【取材協力弁護士】
小沢 一仁(おざわ・かずひと)弁護士
2009年弁護士登録。2014年まで、主に倒産処理、企業法務、民事介入暴力を扱う法律事務所で研鑽を積む。現インテグラル法律事務所シニアパートナー。上記分野の他、労働、インターネット、男女問題等、多様な業務を扱う。
事務所名:インテグラル法律事務所
事務所URL:https://ozawa-lawyer.jp/