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「かりぐらし」にネットで誤解も…5000円シェアハウスの就労支援、感染対策聞いてみた

2021年01月19日 14:02  弁護士ドットコム

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長野県社会福祉協議会が、住まい付き就労支援「かりぐらしスタートプロジェクトながの」をはじめた。


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新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなった人にシェアハウスと、仕事を紹介する。



活動エリアは、2019年の大型台風で被災した。コロナ禍で人手不足に悩むリンゴ農家などの、復興の手助けもできる。



シェアハウスでのコロナ感染をあやぶむネットの声もあるが、「個室を用意する」と説明する。



●1カ月5000円だけで生活できる(食費は別)

「かりぐらし」が支援する対象は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響により困っている方」としている。年齢制限などは特に設けていないが、コロナによって仕事を失った人や、学校をやめた若者などを想定している。



事業では、長野市にある集合住宅の居室を、シェアハウスとして提供。家電や寝具などは備わっている。食費は別だが、水道光熱費込みで1カ月5000円で生活できる。



募集期間は2020年末から2021年10月まで。在住の上限は半年。





福祉協議会の総務企画部長・長峰夏樹さんは「コロナの経営不振で失業された人。せっかく大学に入学したのに、オンライン授業ばかりで、休学・退学する若い子がいる。私のまわりでもそういう話を聞きます」と話す。



シェアハウスに暮らしながら、ボランティアや農作業のバイトなどを紹介してもらい、人や地域とのつながりを作ることができるという。



具体的には、イチゴ農家でのアルバイトや、リンゴ農家の収穫準備に向けた作業などだ。




「たとえば、リンゴ農家のバイトの時給は1000円前後。長野の最低賃金は850円なので、時給は悪くないと思います。3時間だけフルタイムで働きたいなどの要望も聞きたい」




活動地域である長野市北部は、令和元年東日本台風で被災した。




「堤防が決壊して、農家もダメージを受け、復興の途上にあります。住民のかたも仮設住宅にお住まいで、人が戻らない状態。これまで県外ボランティアに助けてもらっていましたが、コロナもあって人数が減っています」




シェアハウスは小高い場所にあり、「水に浸かることはない」という。



●ネットでは「コロナ対策」に疑問 福祉協議会の回答は?

取り組みを紹介したNHKオンラインの記事(1月18日配信)は、シェアハウスでの生活について、「提供されるのは長野市内にあるアパートで、和室が3部屋あり、1部屋に最大3人まで入居できます」と紹介した。



そのため、インターネットの掲示板などでは、シェアハウスでの生活について、コロナの感染リスクがあるのでないかとの指摘もなされていた。



長峰さんは、「集合住宅の3戸を借りる。1戸に3部屋ずつある。1人が1部屋を個室として使うことができる。数人で1部屋を使うことはありません」と改めて説明する。各戸ごとに男女別にするそうだ。



万が一、シェアハウスでクラスターが発生した場合、責任は福祉協議会が負うものであるが、適切な対応をとると強調する。




「個室を確保できるし、3LDKの広さで、個室は6畳ある。部屋自体も広い。利用者が県外から来る場合は、こちらでPCR検査のキットを用意して、移動日のタイミングにあわせて、陰性の証明をもって参加してもらいますし、体温の計測もしてもらいます」






●実際に応募が届いている

まだ入居者は確定していないが、相談が寄せられ始めたところだ。



「大学をコロナでやめた」「年末にコロナの影響で仕事をクビになった」などの相談が実際に寄せられ、シェアハウスでの新しい生活に関心を持っているという。



●コロナ移住、コロナ定住を期待


「長野県でも、お試し移住を呼びかけていますが、取り込もうとしている層は、IT系の仕事でどこでも食べていける人や、家族での移住を考えている人たちです。



5000円でシェアハウス生活できる、かりぐらしを気軽に体験してほしい」




居住の上限は半年間。その間に、腰を据えて働きたいということであれば、ハローワークにつないだり、相談員が就労の支援をおこなう。農家だけでなく、ほかの仕事も紹介する。また、住居探しも手伝う。




「長野県内では、コロナ移住が流行っていると思います。緊急事態宣言前ですが、都会のかたがワーケーションで来てくれていたと思います。コロナ移住をうながすきっかけにもなればいいなと思います」