記録的な寒波が日本列島を襲う中、都心では最低気温が氷点下を行き来する日が続く。電力需要の増加を受け、東京電力は節電への協力を呼びかけている。電気代の使用量が増えれば、やはり家計を圧迫するのが電気料金だ。卸市場に価格が左右される新電力であれば尚更だろう。
ましてや、今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークをはじめとした在宅時間の長時間化が進んでいる。ツイッターで「在宅勤務増えてから電気代やばい」と悲鳴が多く挙がる。
通信費が月6000円なら?15日間在宅勤務した場合は「1500円が非課税」
国税庁は1月15日、従業員が職場から支給される「在宅勤務手当」の一部を非課税にすると発表した。通常は手当を受け取ると、給与などと同様に所得税がかかるが、自宅の通信費や電気代のうち仕事に使った分は課税されないようにすることで、テレワーカーの税負担を軽減する狙いがある。
同庁は、テレワーク中に仕事に使ったとみなす実費に相当する額の計算方法も示している。例えば通信費であれば、1か月の通信費のうち在宅で勤務した日数分の半額がこれに当たる。仮に1か月(30日間)の通信費を6000円として、半分の15日間が在宅勤務だった場合、1500円が非課税になる。ただし、従業員は通信料の明細書などを会社に提出する必要がある。
電気代ではさらに、仕事に使った自宅の部屋の広さに応じて、実費に相当する金額を計算する。電気代が月8000円で、月の半分を在宅勤務、仕事で使った部屋の広さを自宅の2割と仮定した場合、400円分が非課税になるという。このケースでも、従業員は電気料金などを職場に報告する必要がある。
一方、一部企業で既に導入が進んでいる実費を計算しない定額手当の支給は、全額が課税対象になる。このため、企業の間では、同庁の計算方法に基づいた実費相当額を手当として支給する動きが広がるとみられる。
国税庁「さかのぼって還付請求することも可能」
国税庁は、在宅勤務手当の一部を非課税とすることについて、
「企業、従業員の間で経費を一時的に立て替えることがあります。今回の通信費、電気代に関しても、この立て替えた経費分を非課税にするということです」
と考え方を説明する。昨年からテレワークの費用負担や税のあり方について議論を深める中で、出てきた声を吸い上げて今回のような発表に至ったという。
また、既に課税対象の定額手当を支給している一部企業に対しては、特に呼びかけなどは行わないという。担当者は「今回のFAQを参考にして頂いて、対応をご検討頂くことになるかと思います」と話した。
適応時期に関しては、特に定めていないという。「今回はあくまで、非課税の考え方を明確化させて頂いただけなので、いつからという話はありません」と説明する。昨年のテレワーク時など既に徴収済みの税金に関しては、
「源泉徴収を修正されるのであれば、さかのぼって還付請求することはできます」
と話した。企業側が「税金を納めすぎた」と修正申請し、電気代や通信費が業務に使用されたことが認められれば、還付が認められるという。具体的な根拠としては、やはりテレワークをしていたという記録や、それぞれいくら支払ったのかが分かる明細書などが必要になるとした。